「なぁなぁ、政宗様。」 「Ah―?」 「短冊書いた?」
俺、自分の分書いた後お湯貰いに行ってもうたから、政宗様が何書いたか知らんの。 一杯あったやろう?短冊。 お風呂から上がったら全部飾ってくれてたから俺、皆何書いてあるんか知らんねん。
政宗様のお膝の上で足ばたばた。 振り返ったら絶対頬っぺたむにむにされるからそのまま政宗様見上げて。
なぁー。 政宗様は書いた?
「書いたぜ?」 「なんて?」 「さぁな。」 「ええー内緒―?」
なぁーんでぇ。 教えてくれへんのー。 ぶー。
膨れても政宗様が肩をひょいとすくめるだけなん。 どう思うー。 政宗様が秘密やって! どう思うー。
「あ。」 「真樹緒?」
俺いいこと考えた!!
短冊なんやから見に行ったらええんやん。 政宗様が教えてくれへんかったら見に行ったらええんやん。 短冊は全部笹に飾ってあるんやもんね。
「政宗様―。」 「どうした。」 「笹のとこまで連れてって!」
なぁなぁお願い。 政宗様、だっこ。 俺の履物ここに無いねんもん。 政宗様に腕伸ばしたら「そら来い」ってひょーいっと抱き上げてくれたん。
おおお! 高い!!
「Hey、真樹緒小十郎のがあるぞ。」 「えー?どれー?」
政宗様が俺を片腕に抱っこしてな、笹をさらさら揺らしてん。 ほんならこじゅさんの書いた短冊あってんてー。
どれー? 何て書いてあるん?
「『豊穣』」 「おお…」
こじゅさんらしい!! 豊穣!! もうすぐ夏のお野菜の収穫やもんね! 俺も手伝うねんー。 夏のお野菜楽しみ!
「おシゲちゃんのはある?」 「『家内安寧』」
リアル。 おシゲちゃん内容がリアル。 最近は結構平和やんなぁ?
うぬぬ。 おシゲちゃんにも心配かけやんようにします。
「真樹緒。」 「んん?」 「風魔のがあるぞ。」 「まじで!」
こーちゃん!? どれ! さっき短冊渡したけど、しゅたっと屋根に行ってもうたからやー。 見せて政宗様!
「ほれ。」 「おー…」
政宗様がぺろんってめくった短冊には普段可愛いこーちゃんからは想像できひんぐらい達筆な字で「主」って。
…… ………
な、なんやろう。 どうしたんやろうこーちゃん。 俺、こーちゃんに何かしたんかな。 何かこの短冊が力強すぎてどうしたらええんか分かれへんねんけど!
「何が何でもお前を守りたいんだろ。」 「うーん。」
でもお給料くださいとかな話やったらどうしよう。 俺お金ない!
「それはねぇな。」 「そーかなー。」
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