こーちゃんがどこか必死な感じで俺をぎゅーっとしたまま離れません。 ただ今メイドの真樹緒ですよ。
「こーちゃん?」 「(ふるふるふる)」
ぬーん。
やぁ、こーちゃんとくっつくのは別に嫌や無いんやけどな? むしろ嬉しいんやけどな? あったかいしやー、こーちゃんふわふわやし。
でも何やさっき固まってたんよこーちゃん。 どないしたんやろーって心配な訳なのです。
「…無自覚とは恐ろしいものですな。」 「全くだ。」 「ぶもも。」 「う?」
何が無自覚? こーちゃんが切実な感じで振ってる頭をなでなで撫でながら首をかしげる。 政宗様とこじゅさん見たら笑われてもうた。 しかもこじゅさんはため息つきやで。
おお? 何でそんな苦笑い?
政宗様はものすごい楽しそうやのに。 むしろ腹抱えて今にも笑い出しそうやのに。 頭に鴨田さんが乗っててとってもふぁんしーやで政宗様!
「真樹緒。」 「うぃ?」 「そういやぁ、俺も客なんだが?」 「!!」
鴨田さんを俺の頭に戻しながら政宗様が言うた。
あああー!! そうや!
そういやおシゲちゃん政宗様も来るって言うてたねん! おもてなししてね、って言うてた! そんで爽やかに手ぇ振ってどっか行ってもうたんやけど。
ぬうう。 政宗様があんまり普通に部屋に入ってきたもんやからうっかりしてもうた!
「なー、鴨田さん。」 「ぶも。」
ほんならやぁ、襖から入ってくるとこからやり直してもらわんとー。 こっちもご挨拶あるんやからー。
「Ah?」
「ほら、お帰りなさいませご主人様―ってやつ。」
あれやらなメイド喫茶が始まらんやん。 政宗様を見上げたら後ろのこーちゃんは又首を振るし(しかもぎゅうされた腕がちょっと強くなった)、政宗様の後ろのこじゅさんはさっきよりもおっきなため息つくし。 政宗様は楽しげやし。
「ここで言やぁいいじゃねぇか。」 「えー。」
ここでー? 中途半端―。 政宗様もう入ってきてるやんー。 俺、はじめっからやりたいのにー。 ぷく、って膨れたら「cuteだな」って笑われました。
もー、しゃぁないなぁ。 ほんならいくよー。
「got it」 「お帰りなさいませご主人様―。」
今日はどうなさいますかー? こーちゃんを背中にくっつけたままぺこり。 鴨田さんもぺこり。 ほら、二人でメイドやから。
うん? こーちゃん? ぎゅうってくっついててくれるの可愛いからそのままー。 政宗様も楽しそうやしな!
「こーちゃんも後でご主人様やてみよーな?」 「!!!!」 「こーちゃんの名前書いたお餅もあるよ!」
ほんであーんしような!
「〜〜〜〜っ!」 「ああ!こーちゃんどこに!」
「…逃げたな…」 「心中察するぜ風魔…」
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