「oops、」 「どないしたん?政宗様?」
小十郎が餅を噛み締めているのを見ながら、ああそういえば俺と同じく真樹緒の部屋に来た風魔が大人し過ぎやしねぇかと顔を上げた。
確かに真樹緒の部屋の襖を開いた時まで気配はあったはずだ。 それなのに途中から何やら風魔の気配が薄い。 何だ一体どうしたと振り返れば。
「Ah―、真樹緒。」 「ぬ?」 「お前の忍が大変だぜ。」 「?こーちゃん?」
気持ちは分からなくも無い。 大事な大事なお前の主だもんなぁ。 そのただでさえ普通にしていても自分に危機感が無い真樹緒だ、今回のmaidとやらはお前には刺激が強すぎたか。
「固まっとるぞ。」 「ぶも。」 「あああ!こーちゃん!?」
俺の後ろでわなわなと小さく震えながら、伝説の忍が真樹緒から僅かも目を離す事無く固まっていた。 自分の忠節を捧げる主が目の前で際どい着物を身につけ、その足を惜しげもなく晒し、満面の笑みを「ご主人様」なぞ言いながら安売りしていればそりゃぁ体も固まるだろう。
察するぜ。
「こ、こーちゃん?」
どないしたん? そんな震えてしもうて。 何かあった?
おろおろと風魔の方に近寄る真樹緒に小さくため息を。 見ていればいたたまれなくなったのか風魔がぎゅうと真樹緒を抱きしめた。
「こーちゃん?」
「(ぎゅう)」
「うん?こーちゃんもご主人様なる?」
「(フルフルフルフル…!!!!)」
本当に難儀だな。
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