「やからぁ、おシゲちゃんのせぇちゃうんやって。」
あれからこじゅさんが暴走しかけて、俺と鴨田さんで必死になって止めたん。 やってこじゅさん刀とか持ち出すんやもん。 メイドさんはな、おシゲちゃん企画やけど俺もちょっと乗ったから別におシゲちゃんは悪くないねんで。 やってみたら結構楽しいしやぁ。
なー? 鴨田さん。 ブモッ。
「だが…」 「はいはい、ご主人さまお茶ですよー。」
こじゅさんのお向かいに座ってお茶を渡す。 これ以上聞きませんよー。 こじゅさんは今ご主人様やねんから!
この後はお菓子でおもてなしー。 政宗様みたいにな、お膝に乗ろうと思ってんけどこじゅさんにアカンって言われたねん。
足がどーとか言われたんやけど、何やろうな。 んー? 見えすぎ? 確かに短い気ぃはするけどもう慣れたで!
「真樹緒、」 「はぁい?」 「その、ご主人様ってのはどうにかならねぇのか…」
こじゅさんがちょびっと顔を赤くして俺を見た。
おおお… こじゅさんが照れてる…! 恥ずかしがってる…! 可愛い!!
「でもご主人様はご主人様やねんで!」
居心地悪げに苦笑いしたこじゅさんに「メイド喫茶の醍醐味」を教えてみた。 メイド喫茶に入ったからには、お客さんはご主人様なのですよ! ご奉仕させていただくのですよ! やからこじゅさんはご主人様でおってな。
「真樹緒…」 「お菓子もあるねんで。」
ほら、おシゲちゃんと一緒に用意したん。 わらびもち。 できたてやでー。 どうぞ食べて、って笑ったこじゅさんが観念したように笑い返してくれました。
「…真樹緒。」 「ぬ?わらびもちあかんかった?」 「いや…」
あ、これ? 黒蜜でこじゅさんの名前を書いてみました!!
ほら、漢字やで。 見て。 俺がんばった。 黒蜜をほっそく垂らしながらがんばった。
どうぞ、ってこじゅさんにお皿を渡して俺は楊枝を持つ。 何か言いたげなこじゅさんやけど気にしない! ほら、俺今メイドさんやから。
「はい、ご主人様あーん。」
あーんやでこじゅさん。 あーん。 黒蜜が手強いからはよう口開けて。
ちょっとおおぶりなわらび餅をこじゅさんの口元に持っていく。 急がなたれてしまうよ黒蜜。 ちょうど倉の字の黒蜜。
どうぞー、こじゅさん。 あーんして!
「…真樹緒。」 「はよぅご主人様。」 「真樹緒。」 「うん?こっちのきな粉の方がよかった?」
はよ言うてぇな。 ほんならちょっと待って。 きな粉の方取るから。
「真樹緒。」 「ぬ?」 「勘弁してくれ。」
俺がお皿からきな粉のついたわらび餅を取った時、こじゅさんががしりと俺の肩を掴みました。
俯いてしもうたこじゅさん耳の先っぽが赤い。 おお? どないしたん?
「くく…真樹緒、面白そうな事してんじゃねぇか。」
「あー!政宗様!!」
|