「真樹緒〜!!」 「おシゲちゃん?」 「めいど喫茶やるよー!」 「…ぬ?」
真樹緒の部屋の襖を開けたら畳の上を転がる真樹緒と子鴨が見えた。 ほんと毎回真樹緒は畳の上を転がってるよね。
あ、どーも。 皆の人気者おシゲちゃんだよ。 こんにちはーってね。
「おシゲちゃん…」
「何?」
「そんな言葉、おかーさんは教えた覚えありませんよ。」
めいど喫茶だなんて恐ろしい! どっから仕入れたん!
「ん?」
これに書いてあるんだよー。 いやぁね、最近真樹緒に手紙が沢山届くじゃない? いいなーって思ってたらさぁ、ちゃんと俺にも届いたんだよね。
うん? お手紙。 ありがとね!
くれた子はどうやら俺の腕を買ってくれてるみたいでさー。 ほら、この間真樹緒が女の子の格好したの覚えてる? あの時真樹緒をびゅーてぃふるに着飾ったのは俺なんだよ。 梵にもお褒め頂いて、なんと武器を新調してもらったんだー。 それで、今回のお手紙が届いた訳!
「メイド喫茶…」 「ほら、ちゃんと書いてあるだろ?」 「ぬぅ、」
ほんまやー。
ぷくって膨れた顔の真樹緒に笑う。 めいど喫茶ってね、真樹緒みたいな可愛い子が可愛い着物着て「お帰りなさいませご主人様」って言ってくれるんだってー。 夢みたいだよね。
とりあえず喫茶って茶房の事らしいから、お茶と菓子を用意すれば大丈夫だし。 後はめいど服って着物だけど、真樹緒が知ってるのかな? 着物の生地で出来るよね。 まー、俺の腕に間違いは無いよ。
「ほんまにやるんー?」 「やるん、やるん。」
ほらほら真樹緒。 めいど喫茶やるよ。 めいどの着物作んなきゃいけないんだから急いで。
「えー。まじでー。」 「まじで!」
真樹緒両脇に手を入れてよっこらせ。 はい、立とうね。 そんで俺の部屋に行くよ。
「ブモ。」 「んん?」 「あ、鴨田さんー。」
真樹緒の髪の毛からひょっこり顔を出したのは最近よく一緒にいる真樹緒の子鴨ちゃん。 一匹変わった子がいたんだっけ。 名前付けたの?
「うん、鴨田さん。」
かえらしいやろう? ブモって鳴く子鴨を鼻先ににゅって差し出された。
「お前もめいどする?」 「ぶも。」 「よしよし、おシゲちゃんに任せなさい。」
余った着物の切れ端で、お前にもめいど服作ってやるからねー。 楽しみにしておいで!
「なー、おシゲちゃーん。」 「んんー?」 「本気―?」 「本気、本気、」
ほら真樹緒。 最近小十郎が何か疲れてるみたいなんだよね。 そのめいど喫茶で癒してやってよ。
真樹緒を担いでよっこいしょ。 じたばた暴れるけど気にしなーい。 さぁ、めいど喫茶の準備にれっつごー。
「ほら、真樹緒ごー!」 「ごー。」 「ぶもー。」
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