03




「小十郎、床の用意だ。」
「は。」


完全に感冒だな。
そう政宗様がゆうて、くらくらする体がひょいっと浮いた。


「まさむねさま?」
「真樹緒、部屋に戻るぞ。」


ぽんぽん頭撫でられてな。
大丈夫だ、って政宗様が笑う。
俺がついてる、って笑う。


感冒ってな、風邪みたいな病気の事なんやて。
熱が上がるかもしれへんから部屋に戻って寝るぞって政宗様が運んでくれた。


やぁ、風邪かー。
朝からぼーっとしてたんは風邪かー。
ちょっと熱いしなぁ。


「真樹緒。」
「…頭いたいん…」


部屋に戻って布団をかけてくれる政宗様を見上げる。
こじゅさんはお薬貰いに行ってくれたんやて。
おおきになー。
でも何や体も重たくなってきたん。
頭ぐるぐるするし。
やっぱり寒いし。


「…何か欲しいもんはあるか?」
「おみず…」


口がカラカラなん。
舌がはりついてまいそう。


お水ほしいって政宗様見上げたら「待ってろ」ってなぁ。
頭をやわやわ撫でられておでこにちゅーされた。
ほんで部屋出ていってしまいそうやったん。
でもな、俺ここにおってほしくて。


「まさむね様…」
「どうした。」
「…、」


ぬー。
風邪とか引いたら気ぃ弱なるってほんまやなぁ。
体が変でこれからどーなってしまうんやろうって不安になって。
じぃーって政宗様を見た。
でも政宗様は「真樹緒?」って首かしげるだけなん。


もう。
政宗様、俺しんどいん。
体も熱いん。
寂しいん。


「…いかんとって。」


やからここにおって。
もう水とかええからやぁ。
しんどくなくなるまで、ここにおって。
もぞ、って布団から手ぇ出して政宗様の着物を掴んだ。


「真樹緒…」
「離さへんもん…」


ちょっと困った顔で政宗様が笑う。
そんな顔してもあかんねんから。
離さんねんから。
じーって政宗様を見てたらまたおでこにちゅってされて。


「風魔。」
「(シュタッ)」
「頼めるか。」
「(コクン)」


おお…
こーちゃん。
そうやこーちゃんいっつも屋根裏におってくれるんやった。
頭ぼーっとしてるから気ぃつかれへんかった。
かんにんこーちゃん。


「(ふるふる)」


ちっちゃく首をふったこーちゃんの頭をいいこいいこって撫でたら、シュッてこーちゃんが消えてん。
でも消えたと思ったらすぐに戻ってきてん。


………
…………


はっや!
相変わらず早いなこーちゃん!


「あれ?お水?」
「(こくん)」
「ありがとー。」


そんでつめたいお水を運んできてくれました。
すごいおいしいでこーちゃん!


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