02



畑を出てとっとことっとこ走ってなー。
水の張った田んぼのあぜ道をてくてく。
もうちょっとで田植えなんやて!


田植えの時はな、俺もお手伝いするねんで。
あれ一回やってみたかったん。
苗をやぁ、ちょびっと摘んでこう植えていくやつ。
皆で横一列に並んでな!


こーちゃんやろう、俺やろう、こじゅさんに政宗様、おシゲちゃんと一緒に横一列で田植え!!
絶対おもろいでー。


「あ、また音聞こえる。」


広い田んぼを見ながら細いあぜ道あるいとったらな、やっぱりバシャバシャ音が聞こえてん。
水のはじく音な。
田んぼで誰かが泳いでる訳あらへんし。


ぬーん?
音が聞こえる方へとっとことっとこ。


「誰かおるんー?」


きょろきょろ辺りを見渡しながらとっとことっとこ。
それは丁度田んぼの真ん中で発見しました!


ふぉぉぉぉぉぉぉ…っ!!!


可愛い!!
可愛い!!
かーわーいーいー!!!


ガー


なんとそれはカモさんでした!!
ちっちゃいカモさん達でした!!
もしかしたらカモちゃうかもしれへんけど!
多分、カモ!
ばちゃばちゃ田んぼの中で動き回っとって、かわいい!!


「お前ら、どっからきたーん。」


ほれほれ、こっちきてんー。
そんな隅っこで固まってやんとやぁ、こっちおいでー。
触らしてえな。
手を伸ばしてみたらガァガァ言いながら近寄ってきてくれたん。
かえらしい!!


「よしよしー。」


ええ子やなぁ。
でも何でお前らこんな田んぼの中におるん。
カモのえさって田んぼで取れるんやっけ?
あぜ道に座り込んで話しかけたら、いっぱいのカモさんに囲まれました!
きゅーと!!


「ぬー…」


何か癒されるなぁ。
カモ。
足やら手やらに登ってくるカモさんを撫でながらちょっと本気で癒された。


何なん、この子ら。
めっさ可愛いやん。


よしよし、って言いながら皆の頭撫でてたらさっきから背中をよじっと登ってくるカモさんが一匹。
おん?
お前やんちゃやねぇ。
そんなとこ登っとったら危ないで。
落ちてしまうよ、って背中を猫背にしてみたらそのカモさんは上手にとんとん俺の背中を登ってもうてなぁ。


おお…!


もさっと、俺の髪の毛に落ち着いてしまった訳ですよ!!
何、このフィット感。
ちょお、そんなとこでまったりしやんとって。
巣ちゃうで。
俺が動き辛いやんー。


「こらこらー、こっちおいでやー。」


頭の上でもさもさしとるカモさんを両手でキャッチ。
ほら、落ちたら危ないやろう?って覗き込んだカモさんは他のカモさんとちょびっと毛色が違ってました。


……
………


………ぬ?


やぁ、可愛いよ?
うん。
でもなんてゆーかな。
こう一匹だけ姿かたちがずば抜けてるというか。
全体から何かが訴えかけてくるというか。


ぬーん…


じぃーっとそのカモさんと見つめあってみた。
膝とか足とかにはまだ他のカモさんもおるんやけどな、何かこいつが目ぇ離せやん感じ。


「…」


じーい。
瞬き一つせぇへんこいつとじーぃ。


……
………


じーぃ。
じーぃ。


ブモッ。
!!!!


鳴いた!!
カモ鳴いた!!


「っこじゅさーん!!」


大変!!
たいへんこじゅさん!!


カモがブモッって鳴いたー!!!



カモってブモッって鳴いたっけ!!



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