「じゃぁ、一枚目はこっちのお手紙!」
えーっとなー。 これこれ。
綺麗な字ぃやねぇ。 女の子の字ぃって可愛いやんなぁ? まるくってちっちゃくってなー。
「Ah―?」
政宗様が覗き込んで、一緒にお手紙を読む。 んーとやぁ。
『真樹緒君の得意科目は何ですか?』
「ぬー…」 「科目?」 「あ、政宗様は知らんのやっけ。」
俺のおったとこにな、学校ってゆうんがあってな? そこで色んな事勉強するん。 その勉強の種類の事を科目ってゆうねんで! 分かった?
「ほぅ、」
肩をすくめて政宗様が俺を見下ろした。 ちょっと感心した? 俺、ちゃんと勉強しててんで!
「好きな科目かー。」
嫌いな科目やったら数学やねんけどな! 俺数字あかんねん。 足し算掛け算引き算割り算やったらできるけどな! 方程式までは分かったんやけどな! その後はさっぱりやで。
「政宗様はどの勉強が好きー?」 「Ah?」 「今はお殿様やけどやぁ、」
小さい時勉強とかしたやろう? 何が一番好きやった? 楽しかった?
んーって考えてる政宗様を見上げて笑う。 こっちの勉強って何やろう? お馬に乗ったり、字やったり、やっぱり難しいんやろうか?
「俺は剣術だな。」 「剣術?」 「ああ、」
あの道場で小せぇ時から竹刀を握ったものだ。 政宗様が懐かしそうにゆうた。 道場って、あのお庭に面した道場やんなぁ? あそこで政宗様が剣の練習しとったん?
「小十郎はSpartaだぜ?」 「へー…」
こじゅさんが。 スパルタ。
…… ………
何や分かるような気ぃもする。 うん。
「お前はどうなんだ。」 「ぬ?」
俺―? ぬー…
英語も嫌いちゃうしー。 古典読むのも好きやしー。 科学は化学式はよう分からんしー。 世界史のカタカナの名前はあんまり覚えれやんやろー?
ぬー…
「あ。」 「Ah?」 「家庭科!」 「かていか?」
そうそう。 俺、家庭科好きやねん。 調理実習も好きやしやぁ、実技?ミシン使うのも俺結構上手やで! ちくちく裁縫するのも得意よ! 妹のエプロンとか作ったりするんやで!
「初耳だな。」 「へへー。」
今度政宗様にも作ってあげよか? エプロン。 政宗様もお料理するんやろう? エプロンつけてたら便利なんやで。
「それは有難ぇが。」 「ん?」 「どうせなら手料理を食わせろよ。」 「俺の?」 「ああ。」
んんー。 でも俺調理実習好きやけど、別に上手な訳ちゃうよ? 美味しく出来るかわからんで? それでもええのん?
「かまわねぇよ。」 「そお?」
んー。 ほんならちょびっと頑張ってみよーかなー。 お料理。 政宗様食べてくれる?
「楽しみにしてるぜ。」 「おっけー。」
政宗様が俺の頭撫でて笑った。
じゃぁまかせて! 色々考えとく!
たいしたもん作れやんけどなー。 政宗様が食べてくれるんやったらちょっとはりきっちゃいましょー!
|