「政宗様?」
ここ? 炊事場を覗いたら見慣れた背中が見えた。 土間にうずくまってる丸い背中が見えた。
発見! 政宗様発見ですよ!!
「ぬーん…」
炊事場の奥に見えるのは絶対に政宗様の背中で。 いつも通りのひろーい背中で。
「むむー…」
やぁ、何かやぁ。 あんな無防備に広い背中をこっちむけられてたらちょっと挑戦的やない? まるで飛び掛ってこんかーいって言うてるみたいやない? 俺に対する挑戦やない?
「なー、鴨田さん。」 「ブモッ。」
ほぉーら。 ほぉーら、鴨田さんもこうゆうてるし。
「よし、」
行こう。 あの背中に飛んでいこう。 鴨田さん、しっかり掴まってててな。 俺、思いっきりあの背中に飛びつくから。
「ブモ。」 「いいこー。」
鴨田さんのオッケーが出たので膝を屈伸。 ほら、足ひねったらあかんし。 よう伸ばしとかなな! しっかり膝曲げて、さー準備は万端。 後はあの広い背中めがけて走るだけやでー。
ではでは。 せーの!
「政宗様―!!!!」
真樹緒君が来ましたよ! 鴨田さんも来ましたよ! お手伝い全部終わったん。
構って!! 一緒にお外いこうー!!! お散歩しよう!
「とおっ!!!」 「真樹緒?」
今頃気づいてもおそーい!! 広い背中に思いっきりジャンプ!! 結構思いっきり飛び込んだんやけど、こじゅさんの時とおんなじで全く微動だにせずに受け止められました。
「ぬーん…」
「お前は普通に近づいてこれねぇのか。」
「やって政宗様の背中が挑戦的やってんもん。」
何の事だって笑った政宗様の頬っぺたに自分のをくっつけてすりすり。
やぁーって、政宗様。 俺がこんなに探してんのにおれへんかったんやもん。 やっと見つけてんで。 飛びつきたくもなるってものですよ!
「こんなとこで何してたん?」 「新しい兵糧を少しな。」 「ひょーろー?」
何? ひょうろう。 政宗様の手元を覗き込んだら何か藁みたいなものが一杯あった。 ここ炊事場やしお料理してるんちゃうのん? 何で藁?
「この藁に大豆を入れてある、」 「大豆…」 「兵糧ってのは軍の食料の事だ。」 「へー。」
何でもこの藁に大豆入れとったら発酵?して、長持ちするようになるねんて。 やから戦の時とかの食料に重宝するんだぜーって。
「ほー。」
それで大豆。 藁に大豆。
でもやぁ、藁に大豆って何やどっかで聞いたことある気ぃするんは気のせいやろうか。 見たこともある気ぃするんは気のせいやろうか。 ほらこうもさっとした藁の中に大豆っていうか粘っこい豆が入ってるやつあるやん。
うん、あれ。 俺の苦手なあれ。 納豆。
「政宗様これ…」 「Ah?見てみるか?」 「!!!」
政宗様がべり、って結構年季の入った藁をめくった。
中にはやっぱり粘っこい豆がぎっしり。 ちょうぎっしり。
そんでねばねば。 ねばねば…!
…… ………
あかん!! 無理!!
「っ、っ、っ、」 「真樹緒?」
くっついてた政宗様の背中を離れて後ずさる。 政宗様が首を傾げたけど、今結構限界ですよ!
うううう。 かんにん政宗様。 俺、ここおるん無理。
「政宗様がくさいーー!!」 「!?」
全力でダッシュ。 めっさダッシュ。 政宗様はMASAMUNEの匂いやないとあかんのにー!! 納豆くさいー!!
「くさいーーーー!!」 「shit!待て真樹緒!!誤解を招く様な事叫ぶんじゃねぇ!!」
俺は臭くねぇ…!!
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納豆とキネマ主です(笑) この後暫く納豆ショックでキネマ主がこじゅさんにばかりくっついていたらいいかと思いました。
キネマ主は納豆の匂いがちょっと苦手(笑) 「Q」にて納豆を考えたのが筆頭だと素敵な事を教えてくださった方に感謝をこめまして!
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