…… ………
「政宗様。」
「Ah?」
「お止めにならないので?」
「kittenがじゃれてるだけじゃねぇか。」
てめぇら本当にCuteだな。 助けろ、と、見えない目をこちらに向けている伝説の忍に競り上がる笑いを噛み殺した。 形無しだなぁ?風魔。 ひらひらと返事の変わりに手を振れば、忍は見事に打ちひしがれ体を揺らす。 そのままちゅーでも何でもされてしまぇ。
「なァ?」 「ブモッ。」
頭の中に居座る子鴨を見上げて喉を鳴らす。
真樹緒を探しているのか、廊下でうろうろしていたこいつを飼い主の元へ届けようと真樹緒の部屋を開ければ、伝説の忍が自分より大分体格の小さな真樹緒に組み敷かれていた。 思わず目を見張ったが原因はおそらくここ最近毎日届いているという手紙だろう、面白い。 未だこちらに気づかない真樹緒に構わず部屋に入る。
小十郎が忍で遊ぶのはおやめ下さいませと渋い顔をするが、遊んでるのは真樹緒だろう? 俺じゃねぇぜ。
「ほらほら、こーちゃん。」 「(ふるふるふるふ、)」 「ちゅ、」 「っ!!!!」
襖を開けば、ちょうど可愛らしい音を立てて風魔が真樹緒に口付けられているところで。 次の瞬間面白いように固まった風魔は気の毒な事に頭から肩、腕を震わせている。 目の前の真樹緒は満足げに笑って。
本当にお前には惚れ惚れするぜ。 その度胸はどこからくるんだ。
「こーちゃん?」 「!!!」 「あれ!?こーちゃーん!?」
どこ!! こーちゃんどこ行ったん!!
「逃げられたな。」 「政宗様!!こじゅさん!!」
きょろきょろ辺りを見渡す真樹緒の頭を撫でる。
どうやらお前の忍は天井裏へ逃げたようだ。 この分だと暫く降りてきそうにねぇな。 お前の大胆さにどうしていいか分からなくなったんじゃねぇか? 笑えば真樹緒がぶうと唇を尖らせた。
「どうだった?風魔とのkissは。」 「んー…やわっこかった!」
ふにって! ちょうやわっこかった!! ほんでこーちゃん可愛かった!!
ぐ、と親指を立てていい仕事したと言わんばかりの真樹緒に思わず笑いがこみ上げた。
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