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「くん、」


今日の分のお手紙をこじゅさんから貰って、自分のお部屋に帰ろうと思ったら政宗様のお部屋の前が何やものすごいええ匂いがしたん。
真樹緒ですこんにちはー。


廊下にな、ふわって匂ってん。
何やろうって、ちょっと立ち止まってくんくん。
どっかかいだことある匂いでくんくん。


ちょっとあまーい匂いやで。
懐かしーい匂いやで。
うん、せやなー。
簡単にゆうたらミスドの匂い。


ぬーん。


何で。
何でこんなとこでミスドの匂い。
ミスドのアップルパイな匂い。
政宗様、アップルパイとか作れたんやろうか。
やぁ、お料理は上手やねんけどなー。


……
………
まじで!!


「政宗様―。」
「Ah?真樹緒か?」
「んー、入ってもええー?」
「of course。」


政宗様のお許しを貰って障子を開けた。


何やっとるん政宗様!
ミスドの匂いしたで!
アップルパイの匂いしたで!
スパンって襖あけたら普段の着物でな、胡坐かいた政宗様が湯のみ?みたいなやつを持って何か煙をくすぶらせてました。


「あれぇ?」


アップルパイは?


「apple pie?」


おおー。
政宗様、相変わらずナイスな発音。


でもやぁ、肝心のアップルパイ無いよ?
でも何や匂いは更に強くなったような気ぃする。
よじよじ政宗様に近づいて「何しとるの?」って覗き込んだ。


「ええ匂いしたん。」
「これか?」
「ぬー?」


政宗様が差し出した湯のみ?からはやっぱりミスドの匂い。
あれぇ?
でもアップルパイ違うのん?
やってその湯のみ見ても小さい木ぃみたいなんが灰の上にあるだけやってん。


「これは桂皮だ。」
「けいひ…」


へぇー…
この木ぃは桂皮ってゆうねんてー。
アップルパイ違うのんかー。


ええ匂いやねぇ。
甘くて俺、好きやで?


「でも政宗様、」
「ん?」


その桂皮で何しとったの?
のしっと湯のみ持った政宗様の胡坐に乗っかった。


ちょいとしつれー、政宗様。
乗せてやー。
ほんで、その湯のみちゃんと見せて!


俺が乗っかったら政宗様が「城の手伝いはいいのか?」って笑いながら。
大丈夫!
女中さんのお手伝いは終わってん。
お医者のじっちゃんのお手伝いも一段落ですよ!
後は晩御飯の時に炊事場行くだけやから大丈夫!
やからそれ見せて!



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