「我ら宛てですな。」 「Ah―?真樹緒の仕種だぁ?」
真樹緒が持っていたもう一枚の手紙は俺と小十郎宛てだった。 小さな紙に書かれた内容は何という事は無い。 真樹緒の時と同じく「好きな仕種」とやらだ。
「俺?」
白玉をもっくもっく食いながら(あの後小十郎にも白玉を貰い、更には風魔にも一つづつ貰っていた)こっちを見て首を傾げる真樹緒に喉を鳴らす。
真樹緒のcuteな仕種なんざ腐るほどあるぜ。 それこそ一日語りつくしても足りねぇ程だ。 何なら一日真樹緒をrentalしてやろうか。 そのcuteさがすぐに分かるってもんだ。
「政宗様、心にも無いことを申されては。」 「おお、sorry。」
そうだな。 Rentalはできねぇ相談だ。 何せうちの大事なpuppyだからなぁ? 他所の奴にほいほいと懐かれては困る。 ただでさえ愛嬌をそこかしこに振りまいているのだ。
「なぁ、小十郎。」 「全くで。」
茶をすすっている小十郎に真樹緒から受け取った手紙を渡し、考える。 自分を満たして止まない真樹緒の仕種でどれを「一番」に選ぼうか。
俺の名前をあの緩い声で呼ぶのも好きだ。 布団の中でもぞもぞとくっついてくるのも可愛いと思う。 口付けをする時、きょとんと首をかしげた後に少し頬を染めるのも好みだ。
だがただ一つとなれば。
「真樹緒、」 「む?」 「うまいか。」 「めさめさうまいー!!」
これだ。 この顔に限る。
眉を下げ、小さな口をいっぱいに広げ、幸せだと顔中で。 思い切り笑ってみせるお前が俺のただ一つ。
「くく…」
頬を白玉で膨らませる真樹緒をちらりと見て小十郎を見た。 なぁ、小十郎お前はどうなんだ。 お前こそ溺愛じゃねぇか。
呆れたようなその顔は心外だぜ?
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