02



「我ら宛てですな。」
「Ah―?真樹緒の仕種だぁ?」


真樹緒が持っていたもう一枚の手紙は俺と小十郎宛てだった。
小さな紙に書かれた内容は何という事は無い。
真樹緒の時と同じく「好きな仕種」とやらだ。


「俺?」


白玉をもっくもっく食いながら(あの後小十郎にも白玉を貰い、更には風魔にも一つづつ貰っていた)こっちを見て首を傾げる真樹緒に喉を鳴らす。


真樹緒のcuteな仕種なんざ腐るほどあるぜ。
それこそ一日語りつくしても足りねぇ程だ。
何なら一日真樹緒をrentalしてやろうか。
そのcuteさがすぐに分かるってもんだ。


政宗様、心にも無いことを申されては。
「おお、sorry。」


そうだな。
Rentalはできねぇ相談だ。
何せうちの大事なpuppyだからなぁ?
他所の奴にほいほいと懐かれては困る。
ただでさえ愛嬌をそこかしこに振りまいているのだ。


「なぁ、小十郎。」
「全くで。」


茶をすすっている小十郎に真樹緒から受け取った手紙を渡し、考える。
自分を満たして止まない真樹緒の仕種でどれを「一番」に選ぼうか。


俺の名前をあの緩い声で呼ぶのも好きだ。
布団の中でもぞもぞとくっついてくるのも可愛いと思う。
口付けをする時、きょとんと首をかしげた後に少し頬を染めるのも好みだ。


だがただ一つとなれば。


「真樹緒、」
「む?」
「うまいか。」
「めさめさうまいー!!」


これだ。
この顔に限る。


眉を下げ、小さな口をいっぱいに広げ、幸せだと顔中で。
思い切り笑ってみせるお前が俺のただ一つ。


「くく…」


頬を白玉で膨らませる真樹緒をちらりと見て小十郎を見た。
なぁ、小十郎お前はどうなんだ。
お前こそ溺愛じゃねぇか。


呆れたようなその顔は心外だぜ?



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