02




「何も言わずにいなくならないでよねー。」


俺が小十郎に怒られるんだよ。
梵の隣にしゃがんで頬杖をつけば「Ah?成実か」って鼻で笑われたやるせないおシゲちゃんですよ。


もー、ちょっと真樹緒。
どうにかしてよこの殿。
全く真樹緒に見せる優しさの半分でも俺に出してくれればいいのにね。
ありえないだろうけど。


分かってんなら黙ってろ。


うるせぇ。
気が散る。


真樹緒―、お前の政宗様って実はこんな性格なんだよー。


ほんっと見せてやりたい。
はぁーあ!って溜息を吐いて、梵の手元を覗き込んだ。


「うん?何、買うの?」
「Ah―まぁな。」


梵が手に持ってたのは綺麗な硝子玉だ。
色硝子に更に模様がついてあって、何だろう飴細工みたい。
手鞠玉?
そんな硝子玉に紐みたいなのがついててね。
ここじゃ見たことの無いものだ。


装飾品かい?って店主に聞けば舶来の髪留めなんだってさ。


「へー…」


可愛いね。
丁度真樹緒の髪とかに似合いそー…
あの明るい髪の毛にさー……って。


「梵。」
「Ah?」
「それ、もしかして真樹緒の?」
「of course。」


わかんないよ。
でも何となく空気は読めるよ。

真樹緒のなんだ。


でも梵が土産なんてねぇ。
女にだって贈り物なんかした事ないのに。
どれを買おうか真剣に考えてる梵を見て、思わず笑みが漏れた。


真樹緒なら梵が選んだ物なら何だって喜んでくれると思うけど。
「政宗様―!!」って飛びついてくると思うけど。
これはもうちょっとかかるなーなんて欠伸をかみ殺す。


俺も何か買って行こうかねぇ?
買ったら買ったで梵に睨まれそうだけど。


「あれ、梵。」
「あぁ?」
「二つ買うの?」


梵が選んでたのはさっきの手鞠玉の髪留め二つ。
青と透明にさし色が入ったやつとの色違い。
真樹緒に選ばせるのかな?って首を捻ったんだけどさ。


Ah?真樹緒の横にいっつもくっついてんのがいるじゃねぇか。


そいつの分だ。
あれでも主従だからな。


……
………


うん?


え、まじで。
梵まじで?
ちょっと真樹緒になっちゃったじゃない。


真樹緒の傍にいっつもくっついてるって言ったら、一人しかいないけど。
伝説の忍。
ほら、風魔小太郎だよ。


「風魔に?」
「あいつら最近、いつも一緒だからな。」


何、その当然だろみたいなノリ。
最近ちょっと梵、真樹緒に似てきたよね。
変なところ緩いよ。


風魔が城に運ばれてきた時の梵はどこ行ったの。


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