「旦那―大将―、只今戻りましたよっとー。」 「よっとー。」
花ちゃんと一緒に館に着いて、今頃は道場にでもいってるか表で槍を振るってるかだよって話をしながら歩いてたんだけどさ。
ドッカーン!!!
「きゅ!?」
道場の方で聞きたくも無い爆発音が聞こえてきた。
…… ………
旦那。 今度お屋敷の壁や障子や床とか壊したらおやつ抜きって俺様言ったよね。 ましてや庭の木や枯山水をめちゃくちゃにしたらどうなるか分かってるよね。
「さすけ…」 「うん?なぁに、花ちゃん。」 「…かお、すげーこわいぞ?」
あはははは。 まさかー。 花ちゃんにそんな怖い顔するはずないじゃない。 これはあれだよ。 旦那がさ、あんまりにもアレだからさ。
「きゅ?」
花ちゃんが首を傾げた時、もくもくと上がる煙の向こうに人影が見えた。 あああれはこっちに向かってくるね。 大将に吹っ飛ばされた旦那が。
「花ちゃん危ないからこっちおいで。」 「さすけ?」
大将も大将だよ、ほんと。 ここは屋敷なんだから少し加減して下さいっていっつも言ってるのに。 火とか出さないで下さいよってつい二日前にも言ったのに。
花ちゃんをだっこして近づいてきた人影を確認。 「流石お館様にござらぁぁぁー!!!」なんて聞こえてきたけど、そんなの知らないよ。 槍持った旦那を確かめられるぐらいまで見えて。
「さすけ!ゆきむらだ!!」 「はいはいそーだね。」
旦那を指差す花ちゃんの頭を撫でながら落ちてきたその体を避けた。
え? 俺様、無駄なお仕事はしない主義なの。 物凄い音がして、衝撃で地面がえぐれたけれど旦那は頑丈だから大丈夫だよこれぐらい。
「ゆきむらー。」
もくもく上がる砂煙の中、花ちゃんが旦那の埋まってるところへ走っていく。 うーん、何時もながら今にも転びそうな後姿だねぇ。 なんて言いながら後に続く。
「ぬ?花!?」 「だいじょうぶか?ゆきむら!」
うまってっぞ! 小さな手を差し出した花ちゃんに驚いた旦那に苦笑う。 俺様が戻ったのにも気づかなかったなんてねー。 肩をすくめて花ちゃんの隣から手を伸ばせばやっと主は自分に気がついた。
「佐助!帰ったか!」 「少し前にね。」 「おれもいっしょに来たんだぞ!」
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