08




「長旅ご苦労、女の足で荒道は辛かっただろう。今はゆるりと寛げ。」

「あ…有難きお言葉痛み入りまする、」


政宗様のな、お見合い相手はめさめさ美人さんやで。
広間に入ったらこじゅさんと、お姫さんと、そのお供の人?が二人おったん。
三人ともずっと頭下げてて顔見られへんかったんやけど政宗様が「楽に」ってゆうたらそのお顔が見えました!


綺麗やでー。
目がちょっと釣り目でな、髪が長くてストレート!!
俺よりちょびっと年上っぽい?
それとも大人っぽいだけやろうか。
俺を見た途端ぴしっと固まってもうたお姫さんに「びっくりしとる!」って喜んでたらな、政宗様が笑いながら俺の着物つついたん。


「政宗様?」


こらこら政宗様。
あかんやん話しかけたら。
次はお姫さまのご挨拶聞かなあかんのやろう?
扇ごしにひそっと言うたら政宗様、こじゅさんを見てみろって。


「うん?こじゅさん?」
「姫さんよりもすげぇ顔してるぜ。」
「おお?」


政宗様と顔を近づけてひそひそ話。
なんや政宗様がくつくつわろうてる。
こじゅさん?
どうしたん、ってこじゅさん見たら男前な顔が俺を見て素敵に面白く歪んでました!


こじゅさん!
口あきっぱ!!
イケメンが大変やで!
あきっぱ!!
口閉じて!!


俺、真樹緒やで!ってひらひらこじゅさんに手ぇ振ってたんやけど、さっきからぴしっと固まってたはずのお姫さんがな「お、恐れながら政宗様…」ってずずいっと前に来たん。
声はちょっと高め。
俺も手ぇ振るの止めてこっそり見る。
扇って便利やな!


「Ah―?」
「そ…そちらの女君はどなた様で、」


女君?
俺のこと?
やぁ、ちゃんと女の子に見えてんやなぁ。
よかった!
おシゲちゃんぐっじょぶ!!
へへへーって笑いながらお姫さん見たらびくってされた。


「…、」


えー。
ショックー。
ちょっとショックー。
びっくりさせるだけで後は何もせぇへんのにやー。
そない怖い顔せんでも。
別嬪さん台無しやで。


「oh、紹介するぜ。」
「う?」


ぷーって膨れとったら急に政宗様に肩をがしっと寄せられてん。


なん?
俺の出番?
政宗様の許婚やねん!って言おうか?


「いい、俺が言う。」
「そお?」


やっぱりひそひそ話。
政宗様が何や楽しそうやで。
さっきまでちょい機嫌悪かったのに。
でも楽しいからええかー。


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