「ここか真樹緒。」 「にょぉぉぉぉ!!!」
いわゆる女装をおシゲちゃんにさせられてから「打掛」ってのを探しに行ったおシゲちゃんを見送って自分の部屋に戻ろうと思ってんやけど、中々動き辛くて途中の部屋で力尽きてたら急に襖がスッパンと開きましたよ。 真樹緒君なんですけどー。 今はちょっと真樹緒ちゃんですー。
びっくりした!!
「政宗様?」 「Ah?真樹緒か?」 「は!」
そういや俺、今女の子!!
まずい!! 見られた! 女の子の格好見られた! しかも俺化粧までしとるよ。 恥ずかしい!!
「真樹緒?」 「っ、」
どないしよう。 どないしよう。
…… ………
しらばっくれてみる?
…… ………
「やぁ、ぼく真樹緒ちゃうしぃー。」
女の子やしー。 気軽に話しかけないでくださらなーい。 ってつーんてしらばっくれてみたんやけど。
「どのあたりが真樹緒じゃねぇか詳しく教えてもらいてぇな。」
むにょって頬っぺた摘まれました。
「ぬーん…」
ばれてた!! 背中からのしかかる政宗様がニヤリって笑う。 ばれてた!!
もー、分かってんやったらそっとしといてぇな。 ただでさえ恥ずかしいのにやぁ。
「ずいぶんcuteな格好じゃねぇか。」 「おシゲちゃんにやられたん。」
すごいんやでおシゲちゃん。 早業。 俺の服をぺぺっと脱がしてこの着物もぺぺっと着せてもうたんよ。 帯もきっちり巻いてな、ものすごい早かったんやで。
「ほーぅ?」
政宗様がちょびっと離れて俺を見た。
どう? 柄は綺麗で好きなんやけどなー。 帯も白いんとか珍しいし。 でもやっぱり本物の女の子が着たほうが可愛いと思わん? 動きにくいしなー。
特にお腹。 お腹をずーっとぽんぽこ叩いてたい感じ。 ひらひら揺れる袖を振ってたら「成実の野郎」って声が聞こえてな。
「政宗様?」 「cuteだぜ?」 「俺、男の子やもん。」
もー。 褒めてるんそれ。 恥ずかしいやん。
「紅までささってるじゃねぇか。」 「笑わんとってやー。」
これやったんおシゲちゃんやもん。 俺がやりたくてやったんちゃうもん。 おシゲちゃんが指で塗ったんやで。 真樹緒には何色が似合うだろうねーってすっごい楽しそうやった。
「くく…俺好みに着飾られやがって。」 「そうなん?」 「ああ、」
着物のdesignも簪も色も、間違いなくなって。
「…、」
へへへ。 政宗様好みやて。
この格好ちょっと恥ずかしかったけどやぁ、政宗様が何や嬉しそうやからええかなぁ。 きゅーとてゆうてくれたしな!
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