「真樹緒可愛いー!!」 「(こくこく!!)」 「嬉しなぁーい…」
はいどうも。 おシゲちゃんに薄暗い部屋に連れ込まれたかと思えばババッと服を剥がれた真樹緒です。
何すんのおシゲちゃんさぶい!! ってゆうたらすかさず着物を着せられてな。 これがまた重いねん。 動けやんぐらいに重いねんこの着物…!! 明らかに今までの着物とちゃうやん?
しかもお腹が窮屈! 何やろう。 おもむろにお腹をぽんぽこ叩きたくなる窮屈さ。
「これ、女の子の着物やん…」
からし色と深緑とえんじ色の格子柄?で、帯は白いん。 白でな、着物の色とおんなじ三色のおっきい花が描いてあるねんで。
うん。 可愛いよ。 おしゃれな感じ。 可愛い女の子が着たらちょう似合うと思うんやけどなー。
「一越市松柄だよー。」 「いちまつ…」
へー。 髪の毛もな、くるくるくせっ毛に簪を挿されたん。 しゃらしゃら鳴って綺麗ねんやどやぁ。 やっぱり可愛い女の子がつけるべきやと思うんよ。 ちょんって簪触ってたら「仕上げだよ真樹緒」っておシゲちゃんに首をぐぎって。
「…おシゲちゃん痛い…」 「はいはいちょっと我慢ね。」
ぐぎって嫌な音したのにおシゲちゃんは離してくれへんねんでー。 あんまり痛くなかったんやけど痛いって唇とんがらせたら「ないすたいみんぐ」って可愛いひらがな英語でおシゲちゃんが俺の唇に何か塗ったん。
うえ? 何? 何かぬるっとしたぬるっと。
「むー?」 「真樹緒は元々可愛いから紅だけでいいね。」 「べに?」
べにってあれ? 女の子の唇がぷるぷるになるやつ?
あれ可愛いやんな。 グロス? 俺、あれ塗ってる女の子ちょー可愛いと思う。 あれつけて笑ってくれたら俺もうめろめろ!!
「真樹緒、真樹緒、唇動かさないでよ。」 「ういー。」
でもなぁ、おシゲちゃん。 着物とか着といてほんま今更なんやけどやぁ。
「うん?」
「俺、何でこんな事になっとるん?」
「だって真樹緒は梵の許婚でしょ?」
「えっ、そうやったん?」
まじで!?
「まじで。」
…… ………
まじで!?
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