「なぁー…絵師さん来てしまうよー…」
さっきから庭で暴れまわってる三人を見ながら呟いてみた。 幸村君には綺麗な椿のお花をもろうて、けーちゃんからは可愛い黄色いピン(舶来ものらしいよ!)をもろた真樹緒です!
どれをつけて絵を描いてもらうかを決めるらしいですよ。 どんどん庭が庭じゃなくなってきてこじゅさんのオーラが怖いよ。 隣でさっちゃんが笑ってるから余計にこじゅさんの機嫌も悪くなるよ。 岩は割れるし、木は倒れるし、けーちゃんは何や楽しそうやし、かれこれ20分くらいずっとこんな感じ。 夢吉っちゃんをお膝に乗せて俺は待ちぼうけですよーん。
「キキッ」
よしよし。 夢吉っちゃんは危ないからこっちおろうな。
「もー…」 「大変だねぇ、真樹緒ちゃん。」 「さっちゃんは楽しそうやねぇー。」
もー。 そない思うんやったらあれ止めてぇな! こじゅさんがキレそうやねんけど。 怖い!!
ジャックナイフやジャックナイフ。 奥州のジャックナイフやで。
「俺様にあんな恐ろしい三つ巴止めれる訳無いでショ?」
そんでじゃっくないふって何?ってさっちゃんが首をかしげた。
きー!! 白々しい! イケメンスマイルが憎い!! やれやれって肩をすくめるのも大変様になってますね!
「…さっちゃーん。」
もーう、お願い!! どうにもこうにも止まれへんねんもん。 さっちゃんやったら忍者さんやからちょちょいってどうにか出来るんちゃうーん。 やからお願い!! あの三人止めて!
「止めたら真樹緒何してくれる?」 「うえ?」
何? 何してくれるて、なん。 さっちゃん何かして欲しい事あるん?
「俺のして欲しい事でいいの?」 「んん?」
さっちゃん、よう分かれへんよ? 相変わらずさっちゃんは笑うてるし、俺はどないしたら一番ええの? さっちゃんのお願いを聞いたらええんちゃうん?
「いいの?」 「ええよ?」
そんな大層な事は聞かれへんけどな! ちょっとしたお願いやったら多分大丈夫やで!! さっちゃんのお願いってなん?って首傾げてみた。
「今日絵師が来るんでしょ?」 「ん?うん。」
来るよー。 もうそろそろきはると思うんやけど。 遅いなぁ。
「そしたら出来上がった姿絵、俺にちょうだい?」
…… ………
「う?」
「出来上がった真樹緒の姿絵、俺にちょうだい?」
いやいやいや。 二回言わんでも聞こえてたよ。 ちょうだいって何で、さっちゃん。
俺の似顔絵やで? さっちゃんとこにあってもしゃあないやろう? 何でさっちゃんが俺の絵を欲しがるんやろうって目ぇぱちぱち。
「何ででもー。」
「あぅ、さっちゃん髪の毛ぐしゃぐしゃになるやん。」
やめてんか。 さっちゃんが無造作ヘアーを混ぜるから髪の毛ボサボサになるやろー。 ぷーって膨れたら「はいはい可愛い可愛い」ってスルーですよ。 イケメンは違うね!!
「で?いいの?」 「むー…」
やぁ、でも絵師さんは政宗様が呼んだんやし、俺だけでは決められへん気ぃするんやけどなぁ。 政宗様朝から張り切ってたみたいやし。 それに俺かて出来上がった絵は見たいし欲しいし、飾りたいもん!!
「真樹緒が甲斐に見に来ればいいじゃない。」 「へ?」 「旅も出来て、一石二鳥ってね。」 「おおおー!!」
そっか! すごいさっちゃん!! 政宗様、中々外に出してくれやんのやけどさっちゃんや幸村君とこやったら大丈夫やもんな!!
「来る時は迎えに着てあげるよ。」 「まじで!!」
至れり尽くせり!! うーん、ほんならそれでもええかなぁ。 さっちゃんとこに行ったら見れるんやしやぁ。
むーん。
「真樹緒ちゃんお返事は。」
いいでしょ? ってさっちゃんが笑うから、それもええかなぁーなんて思って。 ん、って首を降った直後。
「はーい、三人共いい加減にしなー。」 「「「!!!」」」
びゅっと。 さっちゃんがこうびゅっと。 びゅっと、何か尖ったもんを政宗様とけーちゃんと幸村君が騒いでる所に投げつけました。 しかも10本ぐらい。
えー… 何事。
「shit!!猿!何しやがる!!」
「佐助!何事だ!!」
「おっと、喧嘩に横から水を差されちゃぁ困るよお兄さん。」
三人共見えてたんかってぐらい器用に避けたけど。
つーかさっちゃん。 出来るんやん。 三人止めれるんやん。 しかも一瞬で。
ほんなら最初っからやってぇな!!
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