最近耳とか尻尾とか生えてたからな、俺が縮んだところで別にもう驚かへんねんて! やぁ、確かに最近耳生えてたけど! 体縮んでまう方が重大事件ちゃう?
「前とそんなに変わってねぇぞ。」 「どういう意味ですかー。」
結構縮んだで、俺。 やって今俺たらちゃんサイズやもん。 頭が重くてバランス取りにくいもん。
今はやっぱり政宗様の背中から首にひっついて足ぶらぶら。 またどうせ明日になったら直るだろう、って笑った政宗様がやってるお仕事の見学してます。
もー重大事件や言うてんのに政宗様筆でなー、難しい字ぃいっぱい書いてんの。 そらぁ、どないしたらええか俺も分かれへんけどな!!
「読めるか?」 「んー。」
俺も最近こっちの字勉強しとるけどまだまだ読めへんねん。 平仮名くっついて書いてるから意外に難しいねんなー。 もっと書道の授業ちゃんと受けとったらよかった。
「なーなー、政宗様。」 「Ah?」 「俺、これやったら読めるでー。」
奥州って書いてるんやろう? そんでこっちが申すでー。 続きは読めやんけど、この端っこのが平仮名の「り」と「も」やと思う!!
「excellent」 「へへー。」
よく出来たな、って政宗様が頭を撫でた。
おー… いつもよりおっきい感じの手が気持ちいー。 何か全体的にわっしゃわっしゃ撫でられる感じ。 ぺちょって政宗様の首にしがみ付いたまま頬っぺたをすりつける。 「やっぱりいつもより柔らかいな」って笑った政宗様がぷにぷに俺の頬っぺたをつついた。
そう? 俺、ようわからんけど。 なんせ縮んだからね!!
「くぁ…」 暫く政宗様のお仕事を眺めてたら、政宗様の背中がものすごくあったかくてちょっとうとうと。 このまま寝てまおかなぁ、なんてうとうと。 やってちっちゃくなってなーんか、こう眠気がぬーんと。
「真樹緒、見ろ。」 「んーぅ?」
なんー。 やってぬくいー。 政宗様背中ぬくいのが悪いー。 ねむたいのにー何なんもー。 それでも見ろ、って頬っぺたをうりうりしてくる政宗様に負けて目を開いたらな。
なんとそこには!
「小十郎だ。」 「!!こじゅさん!!」
政宗様の字が並ぶ紙のはしっこに墨でこじゅさんの絵が!
おおおー!! そっくり! その眉間の皺とかそっくり!! オールバックがそっくり!! 筆がいい味出してる!!
「すーごー!!」
でも何でこじゅさんの絵の近くにネギとごぼう? こじゅさん好きなん? ネギとごぼう。
「小十郎の武器だな。」 「ぶき?」
うそやーん! やってネギとごぼうやで!! 食料やで!! どうやって戦うんー。
「これでどうだ。」
政宗様がネギとごぼうを筆描きこじゅさんに持たせた。
二刀流!? ネギとごぼうで!? いかつい顔のこじゅさんの両手にはネギとごぼう。 みすまっちー!!
「あっはっはっはっ!!!」 「鬼の小十郎ってな。」
さらに角まで!!
やーや! 政宗様!! お腹よじれてしまうわ!! こじゅさんこわい!! 口元笑ってるのが更にこわい!
手と足をばたばたさせて大笑いして、政宗様と二人畳にごろん。 笑った笑ったって言う政宗様の隣に寝転んで、でもこじゅさん似とったなぁってまた笑う。 ふーって一息ついたら政宗様がまた筆を持った。 新しい紙を広げて今度は丸描いてちょん、丸描いてちょん。
うん? なに?
「真樹緒だろ。」 「こんな丸っこくないもんー。」 「大福みてぇな顔で何言ってる。」 「ぶー。」
そんなんやったら俺やって描くもん。 貸してって、筆取ろうと思ったら政宗様が手を伸ばして遠ざけた。
もー! 意地悪せんとって! 笑う政宗様に俺も笑って、じゃれてたらなぁ突然ふすまが開いてん。
うん。 ほんまに突然開いてん。
「政宗様。」 「「!!!」」
ほんならそこにお茶とお菓子持ったこじゅさんがおってん。 でも顔は笑ってへんかってん。
「…真面目に執務をしていると思っていれば。」
軽くホラー!!! 政宗様が筆を落として固まりました!
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