03




最近耳とか尻尾とか生えてたからな、俺が縮んだところで別にもう驚かへんねんて!
やぁ、確かに最近耳生えてたけど!
体縮んでまう方が重大事件ちゃう?


前とそんなに変わってねぇぞ。
「どういう意味ですかー。」


結構縮んだで、俺。
やって今俺たらちゃんサイズやもん。
頭が重くてバランス取りにくいもん。


今はやっぱり政宗様の背中から首にひっついて足ぶらぶら。
またどうせ明日になったら直るだろう、って笑った政宗様がやってるお仕事の見学してます。


もー重大事件や言うてんのに政宗様筆でなー、難しい字ぃいっぱい書いてんの。
そらぁ、どないしたらええか俺も分かれへんけどな!!


「読めるか?」
「んー。」


俺も最近こっちの字勉強しとるけどまだまだ読めへんねん。
平仮名くっついて書いてるから意外に難しいねんなー。
もっと書道の授業ちゃんと受けとったらよかった。


「なーなー、政宗様。」
「Ah?」
「俺、これやったら読めるでー。」


奥州って書いてるんやろう?
そんでこっちが申すでー。
続きは読めやんけど、この端っこのが平仮名の「り」と「も」やと思う!!


「excellent」
「へへー。」


よく出来たな、って政宗様が頭を撫でた。


おー…
いつもよりおっきい感じの手が気持ちいー。
何か全体的にわっしゃわっしゃ撫でられる感じ。
ぺちょって政宗様の首にしがみ付いたまま頬っぺたをすりつける。
「やっぱりいつもより柔らかいな」って笑った政宗様がぷにぷに俺の頬っぺたをつついた。


そう?
俺、ようわからんけど。
なんせ縮んだからね!!


「くぁ…」
暫く政宗様のお仕事を眺めてたら、政宗様の背中がものすごくあったかくてちょっとうとうと。
このまま寝てまおかなぁ、なんてうとうと。
やってちっちゃくなってなーんか、こう眠気がぬーんと。


「真樹緒、見ろ。」
「んーぅ?」


なんー。
やってぬくいー。
政宗様背中ぬくいのが悪いー。
ねむたいのにー何なんもー。
それでも見ろ、って頬っぺたをうりうりしてくる政宗様に負けて目を開いたらな。

なんとそこには!


「小十郎だ。」
「!!こじゅさん!!」


政宗様の字が並ぶ紙のはしっこに墨でこじゅさんの絵が!


おおおー!!
そっくり!
その眉間の皺とかそっくり!!
オールバックがそっくり!!
筆がいい味出してる!!


「すーごー!!」


でも何でこじゅさんの絵の近くにネギとごぼう?
こじゅさん好きなん?
ネギとごぼう。


「小十郎の武器だな。」
「ぶき?」


うそやーん!
やってネギとごぼうやで!!
食料やで!!
どうやって戦うんー。


「これでどうだ。」


政宗様がネギとごぼうを筆描きこじゅさんに持たせた。


二刀流!?
ネギとごぼうで!?
いかつい顔のこじゅさんの両手にはネギとごぼう。
みすまっちー!!


「あっはっはっはっ!!!」
「鬼の小十郎ってな。」


さらに角まで!!


やーや!
政宗様!!
お腹よじれてしまうわ!!
こじゅさんこわい!!
口元笑ってるのが更にこわい!


手と足をばたばたさせて大笑いして、政宗様と二人畳にごろん。
笑った笑ったって言う政宗様の隣に寝転んで、でもこじゅさん似とったなぁってまた笑う。
ふーって一息ついたら政宗様がまた筆を持った。
新しい紙を広げて今度は丸描いてちょん、丸描いてちょん。


うん?
なに?


「真樹緒だろ。」
「こんな丸っこくないもんー。」
「大福みてぇな顔で何言ってる。」
「ぶー。」


そんなんやったら俺やって描くもん。
貸してって、筆取ろうと思ったら政宗様が手を伸ばして遠ざけた。


もー!
意地悪せんとって!
笑う政宗様に俺も笑って、じゃれてたらなぁ突然ふすまが開いてん。


うん。
ほんまに突然開いてん。


政宗様。
「「!!!」」


ほんならそこにお茶とお菓子持ったこじゅさんがおってん。
でも顔は笑ってへんかってん。


「…真面目に執務をしていると思っていれば。」


軽くホラー!!!
政宗様が筆を落として固まりました!


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