「へっくし!!」
ぬーん。 今日も今日とて奥州はさぶいです!! 真樹緒ですよー。 ぐっもーにーん。
ん? 今日のあいさつは政宗様ふうみ。 政宗様は何であんな発音ええんやろうなー? 俺、真似できへんよ!
「…ぬ?政宗様?」
ぐーって伸びをして、布団の中でもぞもぞしとったらいっつも隣におるはずの政宗様がおらんかった。
昨日はなー、俺の部屋でお泊りやってんで! 布団を二つ並べて色んな話して、最終的には二人枕投げをしてこじゅさんに怒られたん。 ちょっとはしゃぎ過ぎてもうてやぁ。 今度はおシゲちゃんも仲間に入れてやってみよかなー? ほんなら三対一で俺らの勝ち!!
え? 無理? やっぱりこじゅさん怖い?
分かってても突っ込んだらあかん事が世の中にはあるねんで! 華麗にスルー!!
「…お仕事かなぁ…」
俺寝すぎた? 昨日遅くまで起きてたしなー。 むっくり起き上がって政宗様―?って見渡したんやけど。
「……あれ?」
うん? ここほんまに俺の部屋やっけ?
…… ………
やぁ、見覚えはあるよ。 多分あのタンスも机も俺が使わせてもろうてるやつやと思うよ。 その上にあるんは絶対に俺のカバンやし。
でもな。 ちょっと待ってぇや。
何か視界が低い。
「…えー…?」
視界もおかしいけど、よくよく見てみるとやぁ。
「…」
手とか。 足とか。 指とか。 何か全部ちっさい…! そしてやたらと頭が重い…!!
「うせやーん…」
まじでか。 俺縮んだ? まさか縮んだ?
何で…!!
俺変なもん食べてへんよ。 悪い事もしてへんよ。 まさか枕投げ!? でもちゃんとこじゅさんに謝ったで!!
「ぬーん…」
布団についた手がぷにぷにしててやるせない。
……… …………
あかん。 ここでおってもしゃぁない。 政宗様かこじゅさんとこにいこう。
「…よし、」
助けて政宗様。 助けてこじゅさん。 俺、今走ったら絶対なんか変な音鳴る。 たらちゃんとかいくらちゃんが走る時の音絶対鳴る。 俺、16歳やのに…!!
「くぅぅ…」
泣きそうになりながら布団から這い出て手ぬぐいを体に巻いた。 十分巻けるところがせちがらいわ。 よよよなんて沈む気持ちを何とか耐えて、俺は長い廊下を全速力で走った。
「政宗様ぁぁぁ!!こじゅさぁぁぁん!!」
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