「政宗様―」
どこー? お山に入ってガサガサ、背の高い草を掻き分けたらちょっと広い草原みたいなとこに出ました。
そんでぐるっと見回したら鹿と目が合いました。 おお。 野生の鹿発見。 じいって見てたら鹿の首がきょろってなってな、すぐに逃げてもうてん。
あれ? どなしたんって俺の首もきょろってなったら背中からぎゅうって。 ぎゅうって、
「ぅ、わ…!」 「中々charmingな格好じゃねぇか真樹緒。」 「政宗様!!」
政宗様や!! 政宗様やで!! おった!
「ほんまにおったぁ…」 「Ah?」
おシゲちゃんに聞いてきたんやけど、こんなすぐに会えるとは思ってなかったで。 ぐん、って首伸ばして振り返ったら笑った政宗様に頬ずりされました! 髪の毛こちょばいよ政宗様。
「こんなところで何してやがる真樹緒。」 「こじゅさんのお手伝いやねん。」 「Ah―…」
サボったんやろう? あかんよ。 お仕事はちゃんとせなぁ、こじゅさん困ってたやんか。
「可愛くねぇ事言いやがって。」 「何わろうてるん。」
俺真剣なんやでーもう。 政宗様の腕の中でぐるん。 見上げたら、何か楽しげな政宗様と目がおうた。
ずーっとわろてるん。 何?って聞いても肩をすくめられただけやねん。
「で?」 「へ?」 「何で真樹緒はそんな格好してる。」
俺の羽織だろう? 政宗様がにやりって笑う。
おお…! えろい!! やたらえろい!!
「やって…」
しかも何か意地悪や政宗様。
ええやんかマントぐらい…! やって寒かったんやもん。 政宗様の匂いして安心したんやもん。 ぎゅーってされてるみたいなんやもん。
「わるいー…?」
ぶーってほっぺた膨らませた。 ちょびっと寂しかったん!って小さい声で言うたら「この野郎」って腕の力がつよなった。
聞こえてた! 政宗様に聞こえてた!
「cuteな事言ってんじゃねぇよ。」 「さっきかわいないって言うたー…」 「察しろ、阿呆。」 「もー…」
政宗様の腕の中で笑う。
へへ。 すっごいな、あったかいで。 政宗様マントとは比べ物にならんぐらいあったかいん。
そんで匂いがすごい近い。 ちょびっとだけ、ちょびっとだけな、って言い聞かせて政宗様にくっついた。
だってやぁ。 安心するんよ、政宗様とくっついとったら。 くっついたらぎゅーってしてくれるしなぁ。 ぽんぽんって背中叩かれたら力も抜けてしまうわ。
「真樹緒?」 「うー…」 「どうした。」 「やって…」
政宗様が悪いんやもん。 この寒い日ぃにあったかい政宗様が悪いんやもん。 目ぇつぶってくっついとったらちゅ、っておでこに何か柔らかい感触。
おおお! これは、これは…! 最近されまくってるちゅーやん…!
「!」
ぱっちり目開いて。 瞬きいっぱいして。 余裕いっぱいに笑う政宗様と合った目をそろーりそらして。
「…、」
またくっついた。 ぎゅーってくっついた。
「今日は逃げねぇのか。」
珍しい。
「今日のちゅーは気持ちいいから許したるー。」
やって、今日のんは何か嬉しかったんやもん。 ふにゅってのがじんわりきたんやもん。 やから、今日は特別!
「Ha!そりゃぁ光栄だ。」 「わぁ!!」
政宗様が俺をだっこして持ち上げた。 どうしよう! いつもどおり!! ごちんっておでこくっつけられる。 いつもどおり!
「真樹緒、」 「…なん…」 「くく…愛してるぜ?」 「…っ恥ずかしい事言わんといてんかー…」
何それまじで言うてんの。 男前は何言うても様になってええね…!!
ほんっっま!顔から火ぃでそうやし!! かんにんして。
あっつい顔をそのままに政宗様に揺られて。 始めっから終わりまで上機嫌な政宗様と一緒にお城に帰りました!
うーあ、もう暫く政宗様には寄らんとこ! はずかしもん!!
「真樹緒。」 「なーん。」 「揃いの羽織を作ってやるよ。」 「え!ほんま!?」 「捕まえたぜ。」 「!きー!!」
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なぜ私が書くと長ったらしくなるんだろう… もっと短くまとめたいのに… 精進します。
「Q」にてキネマ主に政宗様の服を、と下さったお客様に感謝をこめまして! ありがとうございました!
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