「こんなとこで何してんの?」
そんな格好で、って言うオシゲちゃんは道着みたいなんに木刀を担いでる。 おお…格好いい… 武人って感じがします。
「政宗様探してんねん。」 「梵?」 「ぼん?」
やぁ、ぼんちゃうよ。 政宗様。
たまにおシゲちゃんそうやって呼んでるやんなぁ。 何でぼん? 可愛いけど。
「ああ、殿のね幼名なんだよ。」 「幼名…」 「梵天丸って言うの」
ちなみに俺は時宗丸ねっておシゲちゃんが笑う。 へーへーほー。 時宗丸!梵天丸! なんか可愛いなぁ。 ほんなら俺は真樹緒丸?
「丸つければ良いってもんじゃないよ、真樹緒。」
「分かってるもん。おちゃめやもん。」
ちょっと仲間に入りたかったんやんかぁ。 そこは受け止めてぇな。
つんって唇尖らせたら「可愛いだけだよー」なんて唇つままれました! やめてんかー。 アヒルさんになるやん。
「で?」 「うん?」 「何で真樹緒は梵の羽織着てるの?」
異国の着物みたいだよ、っておシゲちゃんが政宗様のマントをめくった。 おシゲちゃんのセクハラ本領発揮! 何かやらしい!
「政宗様探しとったら部屋で見つけてん。」 「……それで、着たの?」 「?うん。」
やって寒かったし。 政宗様の匂いして何か安心するし。 あったかやし。 政宗様と一緒にぎゅーってしてる気分になんねんよ? 幸せ!
「妬けるなぁー…」 「おシゲちゃん?」
首を傾げたら何でも無いよ、っておシゲちゃんが笑う。 寝癖ついてるよ、って笑う。 は! そういえば寝癖直すん忘れとった!
大丈夫! 無造作ヘアーやねん!!
「梵なら裏の山にいるんじゃない?」 「山?」 「青葉山。」
城のすぐ裏にあるでしょ?
へー… あのお山かー… 竹やぶの奥のちっさなお山。
ほんまに? あそこにおるん?
「梵が政務から逃げる時は大概あそこだからね。」
そう言っておシゲちゃんは手をひらひら振ってまた道場に戻っていった。
ぐるんって回ってお山を仰ぐ。 さわさわ風が吹き抜けてちょっと寒い。
政宗様、あそこにおるかなぁ? 行ったらぎゅうってしてくれるかなぁ? 政宗様のマントだけやったらまだ寒いねん。
「よし、」
行こう。 お山行こう。 こじゅさんも待ってるし、はよう政宗様連れて帰らんと!
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