06




「真樹緒。」

「うん?」

「これはこのまま鉄板の上に流していいのか。」

「?うん。」


そらそうやん。
焼かな始まらんよ政宗様。
でもな、政宗様はじぃっと鉄板を見て俺を見て、こじゅさんを見て難しい顔してん。
なんで?


「真樹緒。」

「うい?」

このままやると明らかに鉄にへばりつくだろう。


おお。
そっか。
でも油ひいたら大丈夫やない?


「油?」
「政宗様、椿油ならばここに。」
「Thanks」


椿油やて!
何や本格的やなぁ。


「行くぜ。」
「頑張れ政宗様!」


政宗様が椿油をひいた鉄板に生地を流し込んだ。
じわじわじわっていい音聞こえとるよ。


ええ感じー。
甘い匂いもするよー。
ええ感じー。
さぁ後は膨らむだけやでホットケーキ!
ほら、ぷくっと!ぷくっと!


「ぷくっと…」


……
………


…ぷくっと…
膨らまねぇな。


あれ?
何で膨らめへんの?
じぃーっと見てても鉄板の上の生地は一向に膨らみません。
形はええとこいってるだけに、何があかんかったんか分かりません。


あんな。
どら焼きの上っかわ見たいになってる。
上っかわってゆうか下もやけど。


「あれー…?」
「ひっくり返すぞ。」
「んー。」


小十郎さんにぺそっと菜箸でひっくり返された生地はいい色に焼けてたよ。
平べったいけど。


あれー?
俺何か材料言い忘れた感じ?


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夢主の言い忘れたのはベーキングパウダーです。
言った所でどうにかなると思いませんが(笑)


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