06
キリヲ君の手ぇ握って連れてこられたのは何だか豪勢なドアがある部屋でした。
開けたらやっぱり仮面のおっちゃんが一杯!
鴨田さんと二人、ちょびっと雰囲気に呑まれそうになったのは内緒です!
でもやっぱり怪しいん。
あの鴨田さんが引いてるねんで。
よっぽど!!
政宗様見たら六本とも刀抜いてしまうかもしれへんよ。
さっちゃん見たらクナイ投げられるかもしれへんよ。
「ほう、君が…」
ほんで何か高価な感じの椅子に座ってる人もなー、仮面つけとるねん。
でも多分この中で一番えらい人やと思う。
うん?
何でって?
やって白スーツやもん。
黒いスーツのおっちゃんの中で一人だけ白スーツやねんもん。
ほんで変なファー巻いてるねんもん。
なー?
鴨田さん。
「ブモ。」
何か俺を上から下までじぃーって見てるねん。
白スーツさん。
おお…
何かちょっとそわそわするやん。
でも俺も負けずにじぃーい。
何かご用―?ってじぃーい。
暫く見てたら「こちらに来たまえ」って。
「うい?」
こちらって白スーツさんのとこ?
じ、って見てたら指をちょいちょいってされてん。
おお呼んでる。
どないしょう。
あんまり行きたくない。
どないしょう。
ちらってキリヲ君振り返っても顎をしゃくられただけで。
ぬー。
行って来いやってー。
あの怪しい白スーツの人のとこ行って来いやってー。
「取って食われやしねぇよ。」
「でもー。」
おら、って背中をミツコさんに押されて一歩ずいって進む。
もー。
別に怖いこと無いけどやー。
怪しいねんあの白スーツさん!!
あの仮面取ってくれたらまだ普通やのに。
「どうもー、真樹緒ですー。」
とことこ白スーツさんの傍で「何のご用ですかー?」って、ぺこり。
キリヲ君に連れてきてもらいましたーって、ぺこり。
「礼儀はあるようだ。」
ほんなら白スーツさんは笑って。
おお…
白スーツさん笑えるんやん。
普通に笑えるんやん。
もったいない!!
これはあれやで。
白スーツさん、白スーツと仮面でだいぶ損してると思うで絶対。
あ、あとその紫ファー。
どこで見つけてきたん。
「ぬー…」
「何かね?」
やぁ、何も無いんやけど。
やっぱりその仮面いらんと思うん。
どお。
白スーツさん、その仮面取ってみぃひん?
「ちょっとしつれー」
白スーツさんに近寄って、その顔に手ぇ伸ばしてみた。
何や周りの黒スーツのおっちゃんらが騒がしくなったけど、キリヲ君と白スーツさんが止めてくれてん。
やぁ、別に俺白スーツさんに何もせぇへんよ。
ただちょっとな、この仮面取った方がええんちゃうかなーって思ってやぁ。
「何故かね?」
「その方が男前やで?」
絶対。
ここから見えてる目ぇ、すっごい綺麗。
取ったらええのに。
何や勿体無いと思うん。
どお?
白スーツさんを見上げてみたらちょっとびっくりしてた。
あれ?どないしたん?
白スーツさん何でびっくりしてるんやろう、ってキリヲ君を振り返ったらキリヲ君もびっくりしてた。
何で!!
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