03
「ずいずいずっころばーしー、」
「ぶもーも」
どうもー。
背の高い迷彩お兄さん、もといキリヲ君の背中で鴨田さんと一緒にどんぶらこと揺られてる真樹緒です。
こんにちはー。
今、何時ごろか分かれへんねんけどまだ明るいから多分こんにちはー。
「ごまみそずいー」
「ぶもー」
キリヲ君の背中乗ってて分かったけど、結構ここ村人さんおんねん。
見えたのはいかつい兄やんらばっかりやったけどな!
でも見えても皆びっくりしながら逃げていくん。
何でやろう。
「ひぃぃぃ!!」とか。
「処刑人だぁぁぁ!!」とか。
ものすごい勢いで兄やんら逃げていくん。
何でやろう。
ほんで処刑人って何。
キリヲ君のことかなぁ?
「ちゃつぼにおわれて、とっぴんしゃん、」
「ブモモ」
キリヲ君なー、初めキリヲさんやってんけどその呼び方止めろって言われてもうてやぁ。
何やむずがゆいんやって。
やから今度はキリヲ君って呼んでみたん。
どお。
キリヲ君どお。
急に何か同級生みたいになったな!
後ろからキリヲ君の顔を覗き込んで見たら、めっさ眉間に皴刻んで「冗談だろてめー」みたいな顔されたん。
「ぬけたら、どんとこしょ!」
「ぶもっ!」
えー。
嫌?
これであかんかったらキリーとかにしようと思ってたんやけど、って言うたら更に眉間の皴が増えてもうて、長ぁーい沈黙の後「好きにしろ」ってゆわれたん。
あれ?
諦めた?
何かを今諦めた?
ぬ?って首を傾げてみたけど「何にもねぇ」って。
やからキリヲ君に決定なんやで。
「たわらのねずみが、米食ってちゅう。」
「ブモ、」
ちゅう、ちゅう、ちゅう。
って、そういえば俺ずっころばしここまでしか知らんねん。
どないしょう。
ぬー…
何か何となく歌ってみたけど中途半端で気持ち悪い!!
「ブモ?」
「…米食ってちゅう。」
ちゅう、ちゅう、ちゅう。
やからもっかいねずみのくだりを歌ってみました。
でもやっぱり気持ち悪い!!
もうちょっと続いた気ぃしたのに!
「気は済んだか。」
「あんまりー。」
「あぁ?」
やって、続きわからんのやもん。
今のエンディングちゃうんやもん。
キリヲ君の背中にべったり張り付いて「続き分かれへんの」って言うたら「知るかよ」って。
「キリヲ君つめたいー。」
なー。
どうおもう鴨田さん。
キリヲ君冷たいやんなぁ。
「ブモ。」
ほら!
ほら聞いた!
鴨田さんもそうゆうてるやん!
「何がだ。」
もー。
俺がこんなにむずむずしてるってゆうのにやぁ。
自分はそんなスタスタ歩いちゃってー。
もー。
でも運んでもらってるのは俺やから偉そうな事言えやんのやけど!
「あ、なぁなぁキリヲ君。」
「どうした。」
そうそう。
続きはもう知らんからええとしてもやねぇ、俺歌いだしから思ってたんやけどな。
「…ごまみそずいって何やろう。」
「知るかよ。」
またまたコツンってな。
キリヲ君のマイ鉄パイプ(お名前はミツコさん)におでこを小突かれました。
でも痛くないねんで。
やってキリヲ君笑ってるもん!
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