02

「あー…これだからラインでイった野郎はよぉ…」
「ぬ?」


どんがらがっしゃんって飛んできた何かを何かなーって覗き込んでたらなんとそれは人でな!
白目むきながら瓦礫に頭から埋まっててん。
大丈夫ですかー?ってつっついてみたんやけど反応は全くありませんでした!
真樹緒です。


ぬー、せっかくの第一村人が!ってしょんぼりしてたらなんとな、もう一人村人さんおったで!
しゃがんだまま振り返ったら、鉄パイプを担いだこれまたでっかいお兄さんが面倒くさそうにこっちに歩いてくるところやった。


第二村人発見!!


おお…


いかつい。
ほんでちょびっと野生的!
迷彩なズボンはちょっぴりさっちゃんとお揃いやね。
黒い髪で日に焼けた感じのお兄さんやで。


「あァ?」


でもイケメン。
眉間に皴寄ってもやっぱりイケメン。
しかも背ぇちょう高い!
俺に対する挑戦ですか!


「ぶー。」
「ブモ?」
「なぁーんもないんー。」


別にな、気にしてるとか無いもん。
俺はこれから伸びるんやもん!
目指せ夢の170センチ!!
むん、って俺が勝手に身長に思いを馳せてたら、その迷彩お兄さんが「おい」って。


「何だお前。」
「!」


ほんでな、お兄さんが鉄パイプを肩でトントンしながら俺に聞くん。
チャンス!!
これはチャンス!!
ちょっとお兄さん俺聞きたい事あるんやけど教えてんか!


「俺な、真樹緒って言うん。」
「あー?」


いつの間にか鴨の鴨田さんとここに来てもうたみたいやねんけどやぁ、一体ここどこなん?
何や寂しい感じやし、瓦礫いっぱいやし、着物ちょびっと破れてもうたし。
できたらすぐにでも政宗様のとこ帰りたいんやけど。
こじゅさんの美味しいご飯食べたいねんけど。


なぁ、なぁ、ここどこ?
迷彩のお兄さんに聞いたら「何言ってんだ」って。


「てめぇはイグラに参加してねぇのか。」
「いぐら?」


何、いぐら。
イクラ?
やぁ、俺あれあんまり好きくない。
プチプチしてるくせに味がシャケとか何や残念な気分になるんやもん。
なまぐさいんやもん。


イグラだ。
…おちゃめやん。


聞いてたもん。
ちゃんと聞いてたもん。
でもイグラ分れへんねんもん。


おちゃめやん!!


「…てめぇみたいな餓鬼が参加するはずねぇか。」
「がきちゃうよ!」


俺これでもぴちぴちの16歳よ!
もうすぐ誕生日もくるねんで!
心外な!って見上げたら「十分餓鬼だ」って鉄パイプで頭コツンってされた。


ぬー。
ガラスの十代になにするん。
ぶーって唇尖がらせたらコワモテ迷彩兄さんがちょびっと笑った。


おお。
どこかこじゅさんを思わせます!
コワモテやけど何や優しげ!
俺も何か力抜けてへらり、って笑ったらまた鉄パイプが頭にこつん。


「う?」
「ここは餓鬼の来るところじゃねぇ。」


ほんでさっさと帰りな、って迷彩のお兄さんはすたすた行ってしまうん。


ああ待って!!
困る!
帰りたいけど帰れやんねん俺!
ここに放っとかれたら困る!
ちょっと待ってぇや!


すったすった歩いて行く迷彩お兄さんの後を追ったんやけど最初から歩幅が違うので追いつく気配がありません…!


「まってやー!」


ほんまに待って!
ここにおいてかんとって!
迷彩お兄さんの背中を追ってとったとった。
着物が走りにくいけどとったとった。
やっと手ぇ伸ばしたらその服掴めるってとこやったのにやぁ。


ぬぉおお!?


ズッシャーって。


足元の瓦礫につまづいて顔面から地面に突っ込みました。
おでこを強打しました。
でも鴨田さんの安全は守りました!


「ぶも…」
「いたいー。」


肉体的にも精神的にもすぐに起き上がれる気がしません。


ぬーん。


せっかく村人さん見つけたのに、話聞いてもらわれへんし。
おいていかれるし。
こけるし。
痛いし!!


「鴨田さん、俺くじけそう…」


そのまま瓦礫の上にごろん。
どうやったら帰れるんやろうなーってごろん。
どんより曇ったお空は俺の心をそのままうつしているようです、なんていうてみたり。
目ぇつむってため息「はー。」
どうしよう、って目を開いてため息「はー。」。


っておお!!


「何やってんだ。」
「!!」


迷彩お兄さん!?
いつの間に!
いつの間に俺の真上に!!
しかも何かちょびっと呆れてる?


何で!


「迷彩お兄さん…」
「…キリヲだ。」
「わぁ、」



それからお兄さんは俺をひょーいって軽々持ち上げて。
(やぁ、デジャヴとか言うてたらきりないよ!)
「行くぞ」って。



「う?」
「後ろでちょこまか歩かれてると邪魔臭ぇんだよ。」



そのまま俺を一緒に連れて行ってくれるみたいです!
おおおお!
いい人!!
迷彩お兄さんいい人!


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やってしまった咎狗クロスオーバー。
キネマとは別次元で考えてくださると幸い。
次回はキリヲさん視点で。

ここを見つけてくださって、本当にありがとうございました!

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