02



おさむらいの名前はな。
さなだゆきむらっていうらしい。


おれの言うことをきかねぇで、おれの後ろをついてばかりいる。
じっとねてろって言ってるのに聞きやしない。
でもな気をぬいてられねぇんだ。
ゆきむらはすきを見せたらおれの耳やしっぽをさわりにくる。


「ふ…ぁ…」


ああ、いけねぇ。
まだ朝のおつとめが終わってないのに。
ゆきむらが背中からだきついてくるせいで何だかねむい。


「んー…ん、」


ゆきむらはちょっと変だとおもう。
おれがいなりだと知ってもたいどがかわらなかった。


いや。
耳としっぽはしょっちゅういじられるんだけどな。
うたがわなかったし、きみわるがりもしなかった。


「ぅきゅー…」


こらゆきむら。
やめねぇか。
耳と耳のあいだはすごくねむくなるんだ。
しっぽの根もとはきゅうってなるんだ。
おみきと、お水と、しおとおこめをおそなえしねぇといけねぇのに。
おまえのきずだって様子をみて。
ぬのをかえねぇと。


「花、」
「んぅー…」
「花。」
「……すぅ…」


「……寝たか。」


すうすうと小さく寝息を立てるきつねの子の頬をそっと撫で。
幸村は起き上がった。



「……………礼を言う。」



お前の嫌いな戦をする人間を。
自分勝手で己の事しか考えない人間を。
社を血の不浄で汚した俺を。
生かし、救ってくれた。



「…かたじけのうござる…」



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -