神社に行ったらよ、何か人が一杯いて。 どれが神様なんだか分かりゃしねぇよ。
黒い髪の人だろー? 緑色の人だろー? 柿みたいな色の髪の人とー。 片目を目かくししてる奴にー。 全体的に赤いにーちゃんでー。 手に持ってんのは俺よりもちっちぇ子供。
何か耳としっぽがはえて… 耳としっぽ……
……… …………
「Ahー?何だあいつは。」 「村の子であろう。」 「…恐らく…」
やっぱりいた! ちゃんといたんだ神様は!!
「み…」 「「み?」」 「見つけたぜおきつね様!!!!」 「きつねじゃねぇいなりだ!!!」
「!!」
今まで静かだったおきつね様が起きた。 真っ赤なにーちゃんの腕からぴょこって顔を出して。 でっけぇ目で。 金色の耳としっぽで。 俺よりちっちゃいおきつね様だ。 うずうずして手に持った桶の水が揺れた。
「あ…おまえ…」 「〜〜〜〜っ!!!」
走ってきた甲斐があったぜ! ばあちゃんの言い伝えは本当だった。
どうしよう。 お礼が言いてぇのに、体が動かねぇ。 どうしよう夢吉!! 見つけたぜ!!
じっとおきつね様を見て。 おきつね様も俺を見て。
「………」 「……っ…」
おきつね様が怖がらないようにちょっとずつ近づいた。 そうするとおきつね様は真っ赤なにーさんからするする降りてよ。
あれ。 どうしたんだおきつね様。 何でそんなに後ずさってんだ。
「…花が怯えてるでござる。」 「Ahーー…手を離してやったらどうだ。」
「………」 「………」 「………」 「………」 「……きゅぅ…」
じりじり。 じりじり。
ちょっと差が開いてきちまったぞ。 待ってくれおきつね様。
「なぁ、あんた。」 「…何でしょう。」 「ちょっとこの桶持っててくれよ。」 「…、かまいませんが。」
うっし。 とーふは直ぐに崩れちまうからな。 折角のお供えなのにそんな事できねぇ。 それに手が空いたら俺も全力を出せるしな!
「おーし。」 「…き…きゅぅ…」 「ちょっと、君花ちゃんに一体何の」
「逃げんなよおきつね様―――!!!!」 「きゅぅぅぅぅぅっ!!!!」 「ちょっと何花ちゃん泣かしてんのー!!」
稲荷とけいじ
「つかまえたー!!!」 「きゅぅぅ…」 「すっげぇ足早ぇんだなー、おきつね様は。」
「……おまえはいつでもとうとつすぎだ、けいじ…!」
「お?何で俺の名前知ってんの?」
「…初めて来たとき思いっきりさけんでたじゃねぇか…」
「は!そうだ俺そのお礼に来たんだよ!!」
「おれい…?」
「おう!とーふ持って来た!!」
「…なんでとうふ…」
. . .
「…何故助けないのでござるか政宗殿…」 「人の事言えんのか人間。」 「…愉快な子供よ。」 「…あ、稲荷が力尽きましたよ…」 「「「花(ちゃん)!!!」」」
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これにて一通り出したいキャラが出ました。
後々増えていきますが、基本このメンバでのほほんと小話を書いていきたいと思います。
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