02




未だ小雨が降り続く中、空は次第に晴れて今では天気雨です。
うまい具合に事が運んだのでしょう。
そうなるだろうとは思っていても近づいてきた小さな気配に安堵する。


「花、」
「あー!かみさま!!」


そして。
龍と侍達に連れられて帰ってきた子狐は元気良く元就様に飛びついた。


「かみさま!雨がふったぞ!!」
「よくやった。」
「りゅうじんさまにお願いしたんだ!」
「お前の力ぞ。」
「へへ…」


髪についた雫を払いながら視線を横に流すと不機嫌そうな男が二人、元就様と子狐が手を取り合って微笑ましくくるくる回っている様を穴が開くんじゃないかってぐらい睨んでいる。
全く本当に不毛ですね。
あなた方。
何がって、もう総合的にですよ。


ちょっと、花ちゃん渡してくれる?

「文句があるならば己で取り返してみたらどうだ。」

花は某共の稲荷にござる。

「人間が恐れ多いわ、」


そしてあなたは人間で遊ぶの止めてくれますか。
ただでさえ姿を見せてややこしい事になってるというのに。


子狐を奪おうとした人間の手が空を切って。
言い様の無い沈黙が辺りを包む。


ニヤニヤと傍観している龍神は論外だ。
あなた本当もう、自分の祠に帰ったら如何ですか。
師匠と人間が見つめあいながら沈黙して暫く。
「う?」と何も分かっていない幸せな稲荷がきょろきょろし始めてやっと。
何を思ったかうちの元就様は。



花、たかいたかいぞ。
「たかいたかーい!!」



思い切り稲荷を空へ放り上げた。


……
………


何故!!


花が消えたでござるぅぅぅぅぅ!!!

ちょ、何してくれてんのあんた!!!

Ah?俺の方が高く飛ばせるぜ。

「あんたはお呼びじゃ無いんだけど?」

「アァ?」



ああもう。
色々本当面倒臭い…!!!

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