ゆきむらとさすけといっしょにたくさん歩いてたどりついたいずみはな。 すっげぇ大きくはねぇけど、ひやりと冷たくてやっぱりしんせいな「気」をもったばしょだった。
さわさわ木がゆれるのも。 みなもがゆれるのも。 ここがりゅうじんさまのすみかなんだって、すげぇじっかんした。
かみさまが言ったとおりだな。 本とうにいるんだここに。 りゅうじんさまが!
「…よし!!」
そうときまればさっそく雨ごいだ!
「本気ー?花ちゃん。」
「あたりまえだろ、さすけ!」
「確かにここは何とも言えぬ気に満ちているが…」
「ちょっと不気味だよねー…」
こらさすけ! しつれいじゃねぇか!
何のためにここに来たとおもってんだ。 けいじのために雨をふらせてもらわなきゃならねぇからだろ。 だからここで雨ごいするんじゃねぇか。
「じゃまするなよ!」
あとでちゃんと遊んでやるから。 じっとまってるんだぞ。
「しないけどさー…」 「気をつけるでござるよ。」 「だいじょうぶだ!」
はぁ、っていきをはいたゆきむらがおれの頭をなでた。
そんなむずかしい顔しながらなでるんじゃねぇよゆきむら!ほんとにお前はおれの頭をさわるのがすきだな。 たしかに一番はじめよりなでるのはうまくなってると思うぞ。 でも、おれ好みになるにはもうちょっとしゅぎょうが必要だけどな。
「でも本当は気持ち良いんでしょ?」 「いいや、まだまだだ。」 「花は手厳しいな。」 「きゅぅ。」
ああだめだ。 思わずこえが出ちまった。 さすけとゆきむらが笑ってるじゃねぇか。 ここはばしっとおれのすごいところを見せてやらなきゃな!
「っさあ!!やるぞ雨ごい!」
「泉に落ちないように気をつけるんだよ。」
「おちねぇよ!!」
いなりのすごさを思いしらせてやるぞさすけ!その目ぇ、ひんむいてちゃんとおれを見てろ!!
さかきの枝ももって準備はばんたん。 雨ごいのかいしだ!!
…… ………
「…そもそも花のそれは本当に雨乞いでござるか。」
「ねー…」
意気揚々とくるくる回りだした稲荷をどこかやるせない目で見ながら、幸村と佐助は泉の傍の岩に腰を落とした。
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