07



それから「行ってきます」ってかみさまに手をふってお社から森の中にやってきたんだ。
森はいつもどおり気持ちがいい。
風と匂いが最高だ。
おれははなうたを歌いながらあるいてんだけどな、何でかゆきむらとさすけもついてきてる。


「ゆきむら。」
「何でござるか?」
「…何でついてくるんだ?」
「…領地の検分にござる。」
「……ふうん?」


さっきから何度も同じやりとりをしてるけど、ゆきむらはおれの後ろをぴったりくっついたままだ。
けんぶんって、何かちょうさしたりすんじゃねぇのか?
別におれじゃましたりしねぇのに。


「なぁ、さすけ。」
「なぁに?」
「ゆきむらといっしょに、しごとしてきていいんだぞ?」


おれは一人でもだいじょうぶだ。


「……」


ぴくり、と動いた花の耳と。
きょろりと見上げてくる無垢な目に。
まぁーったくこの子は全然分かってないんだから!と、佐助は思わず遠くを見つめてしまった。


一人で森を歩かせるのが心配だとか。
あの神様とやらがいけ好かないだとか。
狐と龍神なんかが簡単に疎通できたりするのかだとか。
そもそも龍神何かが本当にいるのか、とか。
理由は腐るほどあるが、それに全く気付きもしない花ちゃんがもどかしかった。



「…、」
「さすけ?」
「……さぁー、いそがなくっちゃ日が暮れるよー。」
「しんぱいしてやってるのに!」


こっちの台詞だよまったく。


「ふらふら歩いてトンビに攫われても知らないよー。」
「!いなりを何だとおもってんださすけ!!」
「可愛い子狐ちゃんでしょー。」
きつねじゃねぇいなりだ!!
「花は可愛いぞ?」
「おれはかっこういいいなりなんだ!!」


トンビどころかカラスでも太刀打ちできそうにないけどね。


稲荷と神様

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やっとこ次は筆頭です。
筆頭は竜神様セッティングです。

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