04



私たちが降りた社の稲荷は、上で見たとおり小さくて耳と尾がもっさもっさした子ぎつねでした。


一緒にいた人間にくるくる回るのは止められたようで流石に少し安心しました。
あのまんまだったらいつかは目を回して倒れています。
穀物の神が倒れたなんて今年の五穀豊穣どうなったでしょう恐ろしい。


あ、どうも。
神界で元就様にお仕えしております一介の駒にございます。
名前などは特にありませんがどうかよしなに。


ここ最近、変な踊りを踊ってる稲荷を見つけまして、一体何やってるのでしょうと神様と二人降りてきたまでは良かったのですが。


「名を言うてみよ。」
「いなりの花です!」
「ほう…礼儀はなっておるようだ。」
「きゅう。」
「…中々に柔らかい。」


「……」


ちょっと何最高神がメロメロになってんですか。
稲荷なんて嫌って程見慣れてるでしょう。


そりゃあ可愛いのは分かりますよ。
今時珍しい素直な稲荷ですし。
耳だって尻尾だってやたらふさふさして触り心地がいいんでしょう。


「我は神よ。」
「!かみさま!!??」
「日輪の申し子である。」
「おれの雨ごい見に来てくれたのか!?」
「懸命さが目に留まったまでよ。」


白々しい。
あなた絶対ちょっと面白そうだなぐらいのノリでしたよね。

ってか雨乞いだっんですかあれ。
何のまじないかと思てましたよ。
今気付いたなんて素振りを見せないところは流石神様ですね。



元就様…

何か申したいことがあるなら申してみよ。

いえ別に。

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