07



あのな。
ちょっと休けいするだけなんだからな!


「三色と胡麻、餡にみたらし「みたらし!!!」


けいじのために雨ごいをしてたら、ゆきむらがやってきて。
忙しいから後でって言ってんのにおれのじゃまをするんだ。
でもな、何度もこえをかけたのはおれにお供えをもってきてくれてたかららしい。

くしだんごだって!
だからちょっと休けいなんだ。


「ゆきむら、みたらし!みたらしちょうだい!」


耳としっぽがゆれる。

だって甘いにおいなんだ。
ふわん、てな。
それからこうばしい。


どんな味がするんだ。
やっぱり耳としっぽが止まらない。
ゆきむらの腕の中でまちきれなくて足をばたばたとゆらしてみせた。


「ゆきむら、はやく!」
「花。」
「う?」
「あーんでござる。」


ゆきむらが口をひらく。
うん?
あーん??
思わずつられておれも口をひらいた。


ちょっと待ちな旦那。
「…邪魔をするな佐助。
あー?


でもな、口に入る前にさすけにとられちまった。


あれ?
さすけも食いたかったのか?
でもさすけ。
おれそれ食いてぇんだ。
それ見たらな、はなとしっぽがひくひくするんだ。


これはいくら俺様も譲れ無いねぇ。
その心意気や良し。受けて立つ。


どうしよう。
でもさすけも食いたそうだし。
だんごは一本だし。


…きゅう。


……
………


は!
はんぶんこっこしたらいいんだ!!


「さすけ!!」

「ん?どうしたの花ちゃん、ちょっと危ないからじっとしてなよ。」

「手加減は無用、本気で来い佐助。」

「たとえ旦那でもこの団子は渡さない…!!」

「元々は俺が買ってきた団子だ!」

「そんな下心のある団子、花ちゃんに食べさせてたまるか…!」


「さすけ!!ゆきむら!!」


こらこら話を聞けさすけ。
ゆきむらもちょっとおちつけ。
でも何でふたりはそんなにこわいかおしてんだ?


「む、花。」
「花ちゃん?」
「いいこと考えたぞさすけ!」
「うん?」


「このだんご、さすけとはんぶんこっこしたらいいんだ!!」


「っ!!!」


はんぶんこっこって花ちゃん。
ちょ、もう、この子可愛い!!


可愛い!!!


「そうだね花ちゃん!」


半分こでも何でもするよ。
どうしてそんな事言い出したのかは全く分からないけど。
可愛いからもう何でもいいんじゃない。


「っ花!」
「きゅう!?」
「なぜ佐助だけなのだ!!!」
「ゆ、ゆきむら?」
「俺も花と団子を食いたいぞ!」


きゅ?


「くえばいいじゃねぇか。」
違うでござるぅぅぅぅ!!!


ひょいと花から渡された団子が入った皿がやるせなく風に吹かれた。


「花と半分こがいいのだ!」
「きゅ?でもさすけと…」
「なぜ俺ではいかん!!」
「旦那はお呼びじゃないってさ。」
「ぐぬ佐助ぇ、」
「そんな顔で見てもだーめ!」


花ちゃんは俺がいいってさー。
なんて花を抱き上げながら佐助がみたらし団子をちらつかせる。


ああ、鼻をひくひく動かしている花も何と可愛らしい。
佐助の頭に抱きついているのはいただけないが。


「さすけ。」
「はいはい、先に花ちゃんどーぞ。」
「いいのか?」
「どうぞー。」
「ああああああ花ーーー!!!」


あーんと小さく開いた花の口に佐助が団子を入れた。
一度では噛み切られず二回に分けてもぐもぐと。
ごくりと飲み込めば見えたのは花の満面の笑み。


あああ花が佐助に汚されたでござる…

ちょ、人聞きの悪い事言わないでくれる。


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