「…雨乞い?」 「!ゆきむら!さすけ!」
いっしょうけんめいさかきの枝を持っていのっていたらな、後ろからゆきむらの声がきこえたんだ。 おもわずふり返ってみるとゆきむらが首をかしげながらさすけとこっちにくるところだった。
久しぶりだなふたりとも!
「何変な踊り踊ってるのかと思ったよ。」 「変なおどりじゃねぇ!」
さすけが俺をだっこしながら笑う。 「ふわふわだねー」なんて、ききあきたぞ!! 雨ごいだって言ってんのに。 ひとがひっしになっておいのりしてるってのに何ていいぐさだ。
まったく。 今だいじなとこなんだからな。
「雨乞いでござるか。」 「そういや最近雨降ってないねぇ。」 「けいじの村がな、こまってんだ。」 「「けいじ?」」 「村の子供でな、」
村の米が育たねぇって社にきたんだ。 それでな? 雨をふらせるなら雨ごいをしなくちゃならねぇんだぞ。
これはすっげぇ集中力がいるんだから、ゆきむらは静かにそこで見てろ。
「花が冷たいでござる…」 「俺様あったかーい。」
は! そういえばおれ、さすけにだっこされたままだ。
さすけはだっこがうまいけど、だっこされたらなかなか放してくれねぇからつかまったらたいへんだ。 いつもなら気持ちいいけど、今はいそがしいからな!
「佐助。」
「うわ、旦那その顔人を殺せそう。」
「きゅっ!」
じたばたあばれてたら、こんどはゆきむらにだっこされた。 なんなんだお前ら。 おれはいそがしいって言ってんのに。
「花はすごいでござるなぁ。」 「きゅ?」 「雨を降らすのだろう?」 「いなりだからな。」
だから放せ? そう言ってゆきむらのほっぺたをぺちぺちたたいた。
ほらほらゆきむら。 けいじが待ってんだ。 だから下におろしてくれ。
「ゆきむら。」
ぺちぺち。 ぺちぺち。
「……」 「ゆきむら?」
ぺちぺち。 ぺちぺち。
「…柔らかいでござる…!!」
「ちょ、旦那ずるい!!」
ほんとうに。 なんなんだおまえら。
「きゅう…」
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