06



「政宗様ーもみじいっぱい!!」
「圧巻だな。」


政宗様に抱っこされてやってきました青葉山!
政宗様が歩く度に頭の上から赤いもみじがはらはら。
黄色いいちょうがはらはら。
足元は落ち葉がかさかさ。
たまーに政宗様が勢いよく地面を蹴ったら落ち葉がふわふわ。
お山は秋一色でとっても綺麗です!


真樹緒ですこんにちは!
ほい、ほんなら政宗様もたまには一緒にどうぞ。


「Ah?」
「こんにちはーって。」


どうぞ。
俺か?
うぃ。


「Hallo、ladies」


よくできました!


そのきりっとした目元が素敵ねー。
ぬふふ。
俺ももう一回こんにちは!


「ぶも。」


あ、もちろん鴨田さんもこんにちは!
政宗様、めさめさ速く走っとったのによう落ちやんと頑張ったねえ。
えらいえらい。


「ももも。」
「ほら、鴨田さんももみじ見てー。」


頭の上にもさっと乗ってる鴨田さんを手のひらに乗せて、ひらひら舞ってる落ち葉の前にずずいっと差し出してみたら、鴨田さんがぶもぶも言いながら落ち葉捕まえようと羽をぱたぱた。


ぬぅ。
ちょう可愛い。
捕まえようとしてるけど、全然全く掴めてへん鴨田さんちょう可愛い。


へらって笑いながら鴨田さん見てたら政宗様が「真樹緒」って。


「ぬ?」
「頂上だ。」


ついたぜ、って政宗様がにやっと笑う。


「まじで!!」


もう頂上?
鴨田さんにみとれてたら気ぃつかへんかった!!


政宗様を見上げて、下りてもええ?ってきいたら政宗様がやっぱりにやって笑ってやぁ。
俺と鴨田さんを持ち上げたん。


ほんでそれからな。


「政宗様?」
「ぶも?」
「そうら紅葉狩りだ!」


俺らを思いっきり放り投げた。


「ぬー!!」
「モモッ!!」


ふわって体が浮いたと思った瞬間目の前が真っ赤。
もふっと柔らかくてふかふかした何かに包まれる。
お日様であったまったそこはぽかぽかで、びっくりした俺が泳ぐみたいに手を動かしたらガサガサ音がしてやぁ。


「ぷは!」


回りを見たら落ち葉と紅葉がいっぱい。
半分ぐらい体が葉っぱに埋もれてるん。
頭をふるふる振ってみたら髪の毛に引っ付いてたんか黄色い落ち葉が落ちてきた。


……
………


紅葉がいっぱい!
綺麗!


「すごい!」


政宗様見て!
紅葉も落ち葉もいっぱいなん。
赤やろ、黄色やろ、茶色やろ。
いっぱい落ち葉混ざって凄い綺麗やで。


「ぬー…すごいんー。」
「ぶもー。」


鴨田さんと一緒に落ち葉の上ごろごろ。
畳の上転がるみたいにごろごろり
ふかふかぬくぬく面白いー。


政宗様も早く!
一緒に転がろう!
「政宗様!」って見上げたら政宗様笑顔でやぁ。
しゃがんで落ち葉まみれの俺をじいっと見てるん。


ぬぅ。


やあ、落ち葉見てってゆうたのに、何で俺よう。
しかもそんなイケメン笑顔で。
ちょっとはしゃぎすぎた俺恥ずかしいやん。
照れちゃうわ!


「くく…cuteだな。」
「ぬー…はしゃぎすぎ?」
「いや、中々眼福だったぜ?」


ごろごろごろごろ。
よくもまぁそれほど可愛らしく転がれるものだ。


「葉が絡まっとるぞ。」
「とってー。」


ひょいって落ち葉を捕まえて俺の頭を撫でてる政宗様はでも笑ったまんまじーっと俺を見てるん。
見ながらおでこにちゅうされたりしてね。


「…ぬー。」
「どうした。」


やぁ、照れるやん。
そんな見られてたら照れるやん。
見つめてやんと何かゆえてや!
なぁ、鴨田さん。


……
…………


…あれ?
「真樹緒?」


やぁやぁ。
どうしたんやろう。
首傾げてる政宗様の前で俺も首を傾げる。


なあ、政宗様大変。
ちゅうとかしてる場合ちゃうで。
大変なん。


「Ah?」
鴨田さんがおらんの。


……
………


…Really?
まじで。


ぺたぺた頭の中探ってみても、鴨田さんのあのやーらかいもふっとした感覚がありません。
かえらしい「ぶも」ってゆうお返事もありません。


まじで。
まじで鴨田さん。



……
………


鴨田さーん!!
「枯れ葉の中だ探すぞ真樹緒!」
「ぬー!!」


政宗様と一緒に落ち葉をガサガサ。
地面を掘り起こす勢いでガサガサ。
やけど見つからんの!


ぬぅ。
やって鴨田さん落ち葉と同じ色なんやもん。
黄色いんやもん。


鴨田さーん!出てきてー!

Shit!何でよりによって銀杏の木の下だ見分けがつかねぇ!


やっぱり見つからんくって、もう俺も政宗様も必死なん。
やってこんなとこで迷子になったら大変やんか。
鴨田さん一人ぼっちで寂しいやんか。
鴨田さんはアイガモ部隊のリーダーやのに!


落ち葉を掻き分けて鴨田さん捜索なん。
鴨田さん鴨田さんどこ!
俺も政宗様も心配してるよ!


………何してるの二人とも。


ガサガサ俺らが埋まるぐらい落ち葉と戦ってたら後ろから声が。
とっても聞きなれた声が。


「ぬ?」
「Ah?」
「そんな葉っぱまみれになって。」


真樹緒はまぁ、いいとして梵まで。
童心にでも返ってみたの?
いい事だけど、お昼ご飯持ってきたよ。
そろそろお腹減ってるんじゃない?


やあやあこの声は。


「おシゲちゃん!!」
「政宗様、何をなさっておられますか。」
「小十郎!」
「(しゅた)」
「あー、こーちゃんまで!」


お城に放ってきてもうた皆が揃い踏み!
追っかけてきてくれたんやねぇ。


ぬぅ。
おおきに!


「(ずずい)」
「んん?」


あ、これお弁当?
持ってきてくれたん!
俺と政宗様先に飛び出てきてもうたからなあ。


「ありがと、こーちゃん。」
「(ふるふる)」


俺らが鴨田さん探してたらおシゲちゃんとこじゅさん、こーちゃんがお弁当持ってお山を上ってきてくれました。


ぬーん!
これで百人力!


「何、何か探し物?」
「鴨田さんが落ち葉の中で迷子なん。」


ちょっと俺、はしゃぎすぎちゃってー。
落ち葉の中でごろごろ転がったりしちゃってー。
気ぃついたら鴨田さんが行方不明なん。


ほら、こう。
一面の落ち葉にテンション上がってたってゆうか。

今思い返してみたらやっぱり恥ずかしいんやけど。


……鴨田さん?
「うぃ。」


……
………


「おシゲちゃん?」


どうしたん?
よかったら一緒に鴨田さん探してほしいねんけど。
ほら、はぐれたまんまやったら心配なん。


そんなじーっと俺を見てないで。
今は鴨田さんやで。


「小十郎、お前も手伝え。」


飯はその後だ。


ほらー。
政宗様のお許し出たん。
こじゅさんも一緒にお願いー。


……政宗様、真樹緒。
「Ah?」
「ぬ?」


こじゅさんもおシゲちゃんもどうしたん。
鴨田さんの一大事やのに。
なぁ、こーちゃん。
二人とも何で呆れたよーにこっち見てるんやと思う?
俺ら必死やのに!


(……)
「ぬ?」
(ちょいちょい)
「政宗様の方?」


こーちゃんが俺の着物を引っ張って政宗様を指差した。
うん?
何で政宗様?


「あ。」
「Ah?」


子鴨ならば先程から政宗様の頭に乗っておりますが。

それこそ俺達が声かけた時からね。

(こくこく)


……
………


まじで!!
Really!?


「ぶもー。」
「鴨田さん!」


おった。
鴨田さんおった。
政宗様の頭の中におった!


やー…いつの間に。
全然気いつけへんかった。
イチョウと一体化してるとばっかり。


ぬー。
でも良かったー。
見つかって良かったー。


「盲点だぜ…」
「ぶも?」
「この野郎。」


いつの間に乗ってやがった。
俺の隙をつくたぁ、やるじゃねぇか。


「ももも。」
「あー、鴨田さんええなー。」


笑ってる政宗様が髪の毛の中におる鴨田さんを撫でて立ち上がった。


いいなー鴨田さん。
政宗様になでなでしてもらってー。
ぐしぐししてもらってー。
政宗様、俺も撫でてー。


「おら。」


ぐしぐし。
ぐしぐし。



「ぬー。」


やっぱり絶妙な撫でぐあいー。
そんな笑わんとってや。
気持ちええから顔が緩むんしょうがないやんかー。


政宗様はいっぱい俺を撫でた後手ぇ引っ張って落ち葉の中から起き上がらせてくれた。
やあ、俺まだ落ち葉で遊びたかったのに!


なー、鴨田さん。
ぶも。


「昼飯はいいのか?」
「ぬ?」
「ぶも?」
「握り飯を作ったんだろう?」


は!!


そうや!
ごはん!!
お弁当作ったんやった!
落ち葉に夢中ですっかり忘れてた!


「ほらほら広げるよ。」


手伝って。


「ういうい任せて!」


おシゲちゃんが風呂敷広げてるのをお手伝い。
おにぎりおにぎり。


ぬー。
なんや急にお腹減ってきたー。


「真樹緒、茶だ。」
「ありがとこじゅさん!」


皆に配りますー。
温かいお茶ってとこがこじゅさんの愛よねー。


「あ、こーちゃんは俺のお隣な。」


一緒に食べよ。
こーちゃん俺の作ったおにぎり食べてくれる?
三角やないねんけど。
こーちゃんのまねっこしたのに何でか丸にしかならんのよなー。
ふしぎ。
でも次は頑張るん。


「(こくり)」
「ありがと!」


はいどうぞ!


さぁさぁ皆でお昼ごはんなん。
俺はこーちゃんとおシゲちゃんが作ったおにぎり食べるん。


「おいしそうー。」


ではでは。
政宗様もこじゅさんもおシゲちゃんもこーちゃんも手ぇ合わせて。


「用意はおっけー?」
「ああ。」
「いつでもこい。」
「はいはい、どうぞ。」


ぬんぬん。
ではいっせーのーせ!


「皆そろって頂きます!」
「ぶも。」
「(こくこく)」


***


「さて、」
「Ah?」


ここに真樹緒の作った握り飯が二つある訳だけど。


「…」
「…」



食べたい?何て野暮な事は聞かない。
ここからは真剣勝負だよ。


「……下らねぇ。」
「あれ、じゃあ小十郎はいらない?」


真樹緒が一生懸命作った握り飯。
皆に食べてもらうんーって張り切ってたよ。美味しいって言ってあげたら真樹緒凄く喜ぶと思うけど?


「ぐ……」
「くくっ…俺は構わねぇぜ?」


小十郎、お前が引こうが一向になぁ。


「政宗様、」
「さぁどうする。」


……
………


……ふ、


いいだろう成実。
てめえがそこまで言うなら乗ってやる。
ただし後悔するなよ。


「そうこなくっちゃあ。」
「お前も大概熱い男だぜ小十郎。」


いざ…!


「あー、鴨田さんほっぺにごはんつぶついてるん。」

「ぶも?」

「ううん、反対っかわ。」

「(ひょい)」

「あ、こーちゃんありがと。」

「ぶもも。」



終!!




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