02



「小十郎…」
なりません。
まだ何も言ってねぇだろうが。


……
………


ぬう。


こーちゃんと鴨田さんと一緒に政宗様のお部屋にばびゅんと飛んで来たのはええねんけど。
山ほどあった書類がほんのちょっぴり減っただけで、政宗様の机にはまだまだ沢山の紙が山積みでした!
有無を言わせないこじゅさんがちょう怖いです!


「一息つくだけだっつってんだろ。」
「その後真樹緒に構うおつもりでしょう。」
「shit…!」


やぁやぁ、ちょっとお行儀悪いんやけどついさっき政宗様のお部屋の窓からお邪魔しますーってしてな。
お部屋に入って鴨田さんと見つけた小さい秋を見せようとしたんやけど、まだ政宗様お仕事終わってへんねん。
俺を見つけて振り返ったとたんこじゅさんにびしっと睨まれてもうてん政宗様。


ぬう。
まだまだ手が離せやんみたいー。
折角来たのに残念ね!
秋持ってきたのにやー。


「ん?芒か。」
「う?」


俺が手に持ってたどんぐりとか鴨田さんのもみじとかすすきとかを畳の上に置いたらこじゅさんがちょいっと持ち上げた。


やぁやぁそうなん。
すすき。
石垣のとこにいっぱい生えてたんよー。
ちいさい秋なん。


「小さい秋?」
「政宗様。」
「少し位いいだろう。」


話すだけだ。
眉毛をくいって上げてこじゅさんを見た政宗様は俺が持ってきたちっちゃい秋をいじりながら楽しそうに笑った。


やぁやぁこじゅさんそんなため息はかないでー。
幸せが逃げちゃうわ!
ほらこの小さい秋見て癒されて!


「いっぱいあるん。」


見てやー。
俺と鴨田さんの戦利品を畳の上に並べてね。


「すすきとー、どんぐりとー、落ち葉。」


もう秋ですねー。
冬はそこまでやってきてますねー。
ほんでこっちが鴨田さんのなん。


「ぶもっ!」
「頑張ったんなー。」


どんぐりとー、真っ赤なもみじとー、あとはそうそう。


「鴨田さんおしりー。」
「尻?」
「ぬふー。」


鴨田さん、ちょっとその小さいちゃんちゃんこしつれー。
ぺろっとめくらせてね。
おしり。


「ぶも。」


ほんで政宗様とこじゅさんに見せたってー。
首傾げてる二人に見せたってー。
鴨田さんをひょいっと手のひらに乗せてちゃんちゃんこをめくる。
黄色いもさっとしたおしりを政宗様とこじゅさんに向けて。


「ほら見てー。」
「Ah?」
「もももー。」


オナモミ。
くっつき虫やで。
かえらしない?


鴨田さんとオナモミ。
おしり振ってもとれやんねんて。
でも可愛いからつけたまんまでええと思うんー。


「くく…」
「何とまぁ。」


笑ってる政宗様とこじゅさんの前で鴨田さんがおしりふりふり。
Cuteだな、って政宗様もほめてくれたで。
こじゅさんも暫くつけてろって笑ってくれたで。


よかったねー鴨田さん。
みんな可愛いって!!


「ぶももも…」


やぁそんな照れんでもー。
おしり隠さんでもー。
何だか照れちゃった鴨田さんが俺の手のひらからぴょんっと頭の上行ってもうて、髪の毛にもふっと隠れてしまいました。


恥ずかしかったみたいです!!
かえらしい!


「それにしても紅葉か。」
「お外にいっぱい落ちてたで。」


黄色いのとか赤いのとかいっぱい。
どんぐりも。
秋って感じやでなー。
何やうれしくない?
季節が変わったんやなーって。
綺麗やし!


鴨田さんが見つけたもみじをくるくる回してる政宗様を見上げて笑う。
政宗様はそんな俺のほっぺた撫でてやぁ。


「真樹緒。」
「うぃ?」
「そういやぁ、青葉山の紅葉がそろそろ見頃だ。」


どうだ。
ひとつ紅葉狩りといかねぇか。


「もみじがり!!」


まじで!
政宗様まじで!!
もみじがりってあれやろう。
皆で一緒にお山とかへ紅葉見にいったりするやつやろう?
綺麗やなーとか眺めたり、眺めながらご飯とか食べちゃったりしてやぁ!


まじで!!
もみじがり行く!!
青葉山行く!


あんまりテンションが上がってしまった俺はほっぺた触ってた政宗様のお膝にのっしり。
やぁやぁごめんね政宗様。
でもほら政宗様がいきなりそんな事ゆうから!


「行くか?」
「いく!!」
「Good」


そうと決まれば急げ。
言いながら政宗様が俺を持ち上げたんやけどやぁ。
肝心な事忘れてるん。
ちょう大事な事やで。


「Ah?」


何だ?


ぬー…


政宗様ほんまに分からんの。
今でも俺、ちくちく視線が痛いんやけど。
ちょっと我に返ってまうんやけど。
ほら今正面からこっち見てる。



……
………


こじゅさんやん…!!
政宗様。


黙って聞いておりますれば何を申しますか。
話すだけでは無かったので。
そのような事はこの目の前に積まれている書状の山をせめて半数程に減らしてからおっしゃいませ。
朝から常々何度申し上げればその手は動くのでしょう。


この小十郎の目の黒い内はここから一歩もお出し致しませんのでそのおつもりで。


Jesus…


目の前の政宗様のお口がひくりって動いた。
こじゅさんのこめかみもひくりって動いた。
ちょう怖い。


「ぬーん…」


やぁでももみじがり行きたいな。
皆で一緒におでかけしたいな。
お弁当とか持って。
鴨田さんもこーちゃんも揃って。


……
………


楽しそう。
絶対楽しい。
…裏の青葉山やったらすぐ近いからすぐに行けるし。
やからこじゅさんの近く行ってちょっとお願いなん。


「こじゅさん、こじゅさん。」
「どうした真樹緒。」
「あんな、あんな。」


ちょっと聞いてー。
政宗様睨むの止めてやぁ。
お話聞いてー。
こじゅさんの着物を引っ張ってお願い。


「俺な、もみじがりしたいなーって。」


皆でおでかけしたいなーって。
思うんやけど…


あかん?


「真樹緒…」
「ぬー、」


そら政宗様お仕事いっぱいあるけど、息抜き大事やで!
お外の空気吸うたらリラックスになるってゆうか!
気分爽快、きっとお仕事もはかどると思うん!


どお?
こじゅさんどお?
帰ってきたら俺がちゃんと政宗様にお仕事しぃやーってお願いするから。
もみじがり。
行きたいん。


「…こじゅさん…」


こじゅさんを見上げてじーい。
鴨田さんと一緒にじーい。
ほらほら鴨田さんも行きたいって!


「…」
「…、」


ずーっと見てたらこじゅさんの眉間のシワがゆるゆる取れてきた。
それでもまだ見てたらすっかりそのシワが無くなってこじゅさんがため息。
はー、ってすごい長いため息。


「でかした真樹緒。」
「ぬ?」
「政宗様。」


何やけらけら笑ってる政宗様に首傾げたらこじゅさんが「お前は厨に行ってろ」って。


厨ってほら台所。
何で厨?


「成実がいるはずだ。」
「おシゲちゃん?」
「皆で紅葉狩りなんだろう。」


誘わなくていいのか。
こじゅさんが笑うん。


「!!」


まじで!
こじゅさんまじで!
ええの。
もみじがり行ってええの!
目ぇ見開いてこじゅさん見たら「ただし政宗様の政務があと半数片付いたらだ」って。


「うぃ!」


おっけーおっけー。
大丈夫!
待つよ!
俺待つよ!!


政宗様が「げっ!」なんてゆうたのも聞こえやんかったふりするよ!
ほらほら政宗様!
そんなとこでしかめっ面してないでー。
お仕事頑張ってー。


「もみじがり行くん。」
「その前に俺が力尽きたらどうする。」
がんば!!!


俺応援してる政宗様。
めさめさ応援してる。
だからがんば!!


ほらほら鴨田さんも応援してるん。
政宗様のとこ戻ってちょんっと鴨田さんを手のひらに乗っけて。
応援なん。
俺と鴨田さんから。
ちょっと恥ずかしいけど、やっぱり頑張って欲しいもんね!


「真樹緒?」
「へへー。」


ほいほい。
政宗様ちょっと失礼しますー。
しかめっ面してる政宗様の背中にのしっとのっかって顔を覗き込んでみた。
やっぱりご機嫌が悪い政宗様に何や可愛いなーって笑って。


ほっぺたにちゅう。


「ちゅう。」
「…」
「やぁ、政宗さまびっくりした。」


固まってもうた。


ぬふー。
ちゅうされると思ってへんかった?
頑張ってのちゅうやで。
ほらほら鴨田さんも。


「ちゅー。」
「ぶもー。」


ほっぺにね。
俺と鴨田さんとこーちゃんちょっとおシゲちゃんとこ行ってくるけど、さぼったらあかんよ。
しっかりお仕事してね。
ほんで皆でもみじがりやで!!


固まってもうた政宗様をどないしようと思ってたらこじゅさんが「いいから行け」って何やおかしそうにゆうてくれて。
俺はちょっと心配やってんけど、こじゅさんがついてるし。
おシゲちゃん誘うっていう大事なお仕事を貰ったから、ここはこじゅさんに任せて厨へ向かいます!!



……
………



「政宗様。」
…余りのcuteさに心臓が止まるところだったぜ。
今更何を申しておられますか。


-----------

この後おシゲちゃんと一緒にお弁当を作って紅葉狩りでございます。
ふかふかの紅葉と落ち葉に飛び込んで遊ぶのです。

素敵なリクエストを下さった御堂様、本当にありがとうございます。
もう少し続きますがお付き合いくださいませ。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -