04



政宗様のお父さんは伊達輝宗さんってゆうて、ここからちょっと離れた所に住んでるんやって。
今日はお父さんだけ来るみたい。
元気にしてますかーって政宗様のお顔見にきはるらしいよ。

もー。
それやったらそうゆうてくれたら良かったのに!
水くさいんだからー。


朝ごはんをもりもり食べて元気百倍。
もう、もやもやなんてどこかに行っちゃったー!!
政宗様を探してる真樹緒です!
こんにちは!


「さっきは大広間におったからねー。」


もしかしてもうお父さんをお迎えに行ってもうたんやろうか。
こじゅさんもあれから急いで厨を出てってしまったし。
廊下も何だか静かなん。


ひっそり。
お城中がひっそりやで。


「ぬー…」


おシゲちゃんのお部屋覗いてもしーんとしてるし。
もちろん政宗様のお部屋に行ってもだーれもおらんし。
それやったら大広間はどうやろってとことこやってきたらそこの廊下には人が一杯!


「やっぱり!」


お客様が来たんやで!
政宗様のお父さん。


女中さんとすれ違ってぶつかりそうになってごめんなさい。
なぁなぁ、お客様来た?って聞いたら「ええ」ってにっこり笑ってくれた。
政宗様のお父さん来たって!!


「今は政宗様とお二人中で寛いでおられますよ。」

「へー…」


二人でもうお部屋におるんやー。
へー。


「……」


なぁなぁ、女中さん。
政宗様のお父さんどんな人?
似てる?
やっぱりイケメン?
背ぇはどれぐらい?


気になるん。
輝宗様どんな人。


女中さんの袖を引っ張ってひそひそ声で聞いたら(やぁほら、大きい声出したら中まで聞こえてまうかもしらんやろ?やからひそひそ。)女中さんがあらまぁって。


「それはご自分でお聞きなさいませ。」

「ぬ?」

「私はこれで。」


ふふふ、って笑ったまま女中さんが頭をぺこり。

あれ、どないしたん。
俺まだお話したいのに女中さんは廊下を歩いて行ってしまう。
やって、いくらなんでも勝手に入れやんしやぁ。
お話もこっそりやろうと思ってたのに。


ぬうー。
女中さんー。
帰ってきてー。


じぃーっと廊下を睨んでもお花のような笑顔を残して去っていった女中さんの背中はもう見えません。

ぬん…
何だか久しぶりにせちがらい…!


どないしょーかなーって大広間の前うろうろ。
このままお部屋戻るのも勿体無いしー。

ぬう。
やってちょっとでもいいから政宗様とお話したいん。
お父さんも見たいしやー。


やからうろうろ。
廊下を行ったり来たりうろうろ。
暫くうろうろしてたら後ろから真樹緒って。


「ぬ?」
「何してんだ。」
「!!政宗様!!」


大広間の扉が開いて中から政宗様が!
政宗様!
まじで政宗様!

俺がうろうろしてたのばれてしまったんやろうか。
振り返ったらくつくつ肩を揺らして笑ってる政宗様がひょこっとお部屋から顔を出してました!


「やぁ、政宗様さっきぶり!」


お元気?
忙しそうにしてたんは政宗様のお父さんが来るからやってんねぇ。
言うてくれたら良かったのに!
もう、もやもやしてへんよ俺。
むしろわくわく?
やって政宗様のお父さんなんやもん!


「小十郎に聞いたのか?」
「うぃ!」


頭を撫でてくれる政宗様を見上げて笑った。

そうなん。
こじゅさんがね、教えてくれてんで。
やからー、どんなお父さんかなーって見に来た!


「Really?」
「もしかしたら見れるかなーって思って。」


でも俺そこは空気読んだんよ。
二人でおるとこ邪魔したらあかんやん?
ほら、親子水入らずやんか?
やからちょっと足音潜めてうろうろしてたねん。


「でもばれてた?」
お前の足音はぴょこぴょこしとるからな。


どこにいても分かる。


ぴょこぴょこ…


やー、そんな音したっけ俺の足音。
そんな不思議な足音やったっけ。

ぬーん。
後でこーちゃんにも聞いてみよう。
それより今は政宗様のお父さん!


「なぁ、政宗様。」
「Ah?」
「俺もな、お父さんに会いたいな。」


やぁ、だめもとでのお願いなんやけど。
会ってご挨拶したいな。
いつも政宗様にお世話になってますーってご挨拶。

なぁ、政宗様あかん?
今忙しい?
お邪魔してしまうやろうか。


政宗様を見上げてじーぃ。
扉の向こうに人はおるみたいやけど、ここからやったら見えへんの。
ひょいっと背伸びしてみたら政宗様に行儀が悪いぞって笑われた。


「真樹緒。」
「うん?」
「悪いが今は入れてやれねぇ。」
「…あかんの?」
「sorry」


眉毛をハの字に曲げた政宗様が申し訳なさそうに言うて俺のおでこにちゅうをする。
悪いなsweetってまたちゅうをする。


「…ぬぅ、」


ちゅうは好きやで、うん。
政宗様にちゅうされるんは気持ちええしや。
でも、さっきまでわくわくしてた気持ちが急にしょぼんってしぼんでもうたん。


無理やろうなぁって初めから思ってたはずやのに、あかんってはっきりゆわれてもうたらまたお腹がきゅってなった。
そおっとお腹触ってみるけど原因は分からへんの。


…変なの。


「…大事なお話?」
「ああ。」
「…終わったら一緒におってもええ?」


ちらって政宗様を見上げた。

お話終わるまで待ってるん。
いい子にしてるん。
そしたらな、政宗様。
終わったらまた構ってくれる?
ちゅうしてくれる?


「Of course.呼びに行く。」


夕餉は共にな。
だから今はここまでだ。


「んぅ…」


おでこにちゅうしてた政宗様が最後に唇にちゅうしてくれた。


「見せつけてくれるねぇ。」
「Shit、」
「う?」
「行け真樹緒。」
「政宗様?」


そしたら急に、後でなって政宗様はお返事もせんと慌て扉を閉めてしまったん。
ぱしんって鳴った襖に俺がびっくり。
肩が揺れてもうたけど、政宗様はそれから一回もお部屋から出てきてくれません。


「…むー…」


きっと多分。
さっき聞こえたんは政宗様のお父さんの声やのに。
それを聞く暇もなかったん。

もー。
政宗様、もー。
ばいばいも出来やんかったやんか!


「ひどいー。」


やから俺は膨れながらお部屋でごろごろ。
こーちゃん呼んでおしゃべりしながらごろごろ。
さっきのひどい政宗様の事を言いふらしたりしてね。

あ、でもちゅうしてくれた時はいつもの優しい政宗様やったん。
格好良かったで。


「(こくこく)」
「あ、ほんでな。晩ごはんも一緒に食べよって言ってくれたん。」


もしかしたらお父さんも一緒かもね。
ドキドキね!


「(こくこく)」
「ぬふー楽しみ!」


あれー。
何かわくわくしてきた!
こーちゃんこーちゃん、ご飯までお話相手になってね。
ほんで政宗様が呼びに来てくれたら一緒に行こうね。


「(こくり)」
「(へへー…)」


頷いてくれたこーちゃんの頭をなでなで。
夕方まで二人でごろごろまったり過ごしますー!



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