「ひよこがね、」
お庭でぴょこぴょこかくれんぼー。
「どんなに上手に隠れても、」
かわいいあんよが見えてるよ!!
って事でー。 政宗様も簡単に見つけてしまうんやからー! 大広間の襖をスッパーンって開けて「政宗様ー!!」って叫ぶ。
ここにおるん知ってるんやで! おシゲちゃんに聞いたんやから! 隠れてもむだむだー!!
「政宗様ー!」 「真樹緒?」 「!!」
ほんなら目の前にやぁ。
「真樹緒じゃねぇか。」 「政宗様!」
目の前、ほんますぐそこに政宗様おったん。 まじで。 政宗様まじで。 もうすぐでぶつかる距離やで。 俺、大広間の奥におると思ってたからびっくりしてもうてちょっと飛び上がってもうたよ!
やぁやぁそんなとこにおったん知ってたら俺もうちょい落ち着いてたのに。
「お前こんな薄着で何してんだ!」 「ぬ?」 「夜着のままじゃねえか。」 「わ!」
俺が目ぇぱちぱちしてたら政宗様が上着をばさっと肩にかけてくれた。
やぁやぁ、俺起きてすぐ急いで出てきたから。 ねまき一枚やったん。 そういえばちょっと肌寒いかもー。
やって政宗様起きたらおらんのやもん。
「そうやん!」 「Ah?」
ぬくい政宗様の上着を引き寄せながら「もう!」って顔を上げた。 ほっぺた膨らませて政宗様!ってな。
ちょっと政宗様、おれ怒ってるよ! 冷たいお布団の恨みは恐ろしいんやで。
「今日、お客様来るんやろう?」 「小十郎に聞いたのか?」 「ううん、おシゲちゃん。」
ほら、そこで会ったん。 その時にね。
目ぇ丸くして首傾げてる政宗様に言うて袖を引っ張る。 俺その事で政宗様探してたんやで。
「お客様来るから忙しいんやろう?」
お城中、女中さんも朝から大変そうやったん。 やから俺もお手伝いしようと思って! 政宗様が起きるとき一緒に起こしてくれたらよかったのに。
そしたら俺も。
「失礼します、政宗様!」
俺も、って続けるはずやった言葉は息を切らせてお部屋にやってきた女中さんに遮られた。
「What?」
困った顔の女中さんがおろおろしながら政宗様呼んでそれから。 俺を見てた政宗様の目はすって逸らされてもうた。
「あ…、」
…あれえ? いつもやったら。 いつもやったら俺の方見ててくれるのに。 俺とお話してる時はちゃんとずっと俺の目見てくれるのに。
何でかお腹の辺りがきゅうってなって、思わずそこを押さえた。
「…、」
何やろう。 お腹、すきすぎてもうたんかなぁ。 ……へんなの。 ぽんぽんお腹さすってたら政宗様が俺の髪を撫でた。
「Sorry真樹緒。」 「政宗様…?」
やっと俺を見てくれた政宗様は申し訳なさそうに笑ってため息ついて。
「俺は今手が離せねぇ。」
客の事は聞いたろう? 中々厄介な相手でな。 持て成しの準備に気が抜けねぇんだ。 後からどんな難癖をつけやがるか分かりゃしねぇ。 暫くしたら此れでもかというほど愛でてやる。 だから悪いが今は成実に構ってもらえ。
「…」
そんな事言うん。 おれのほっぺた優しく撫でながらそんな事言うん。
…ほっぺた撫でた時はいっつもぎゅうしてちゅうしてくれるのに。
「真樹緒?」 「…あさごはんは?」
……ごはん。 まだ食べてへんよ。 いつも一緒に食べてるやん。 俯いたら足の爪先が見えた。 その爪先を政宗様のにちょんってして、ちらって政宗様見上げたら「食ってる暇がねぇんだ。」って。
「Sorry sweet」 「……」
苦笑いのままおでこにちゅうしてさっき声かけられた女中さんの方へ行ってもうた。
「むぅ…」
俺はもやもや。 せっかく政宗様にちゅうしてもらったのにもやもや。 俺、俺もお手伝いするって言おうとしたのに。
…… ………
「…おシゲちゃんも忙しいってゆうてたもん。」
やっぱり、もやもや。 開いたまんまの襖じーっと睨んでもやもや。 ゆっくりお部屋を離れて廊下をてくてく。 爪先見ながらてくてく。
また、お腹がきゅうってなった。
「……こーちゃん、」 「(しゅた)」 「一緒に朝ごはん食べてくれる?」 「(こくり)」 「ん、ありがと。」
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もやもやキネマ主です。 お客様はもう少ししたら到着されますが、どなたか分かりますでしょうか(笑)
キネマ主はいっつも構ってくれる政宗様が構ってくれないのでもやもやしています。 でもどうしてもやもやしているかは分かっておりません。 この後ふてくされた顔で朝ごはんを食べたかと思います(笑) 次はやっと喧嘩の予定。 政宗様はそりゃあもうてんぱります(笑)
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