06




「よいしょ。」
「おいなり様、俺が籠もつよ?」
「だいじょうぶだけいじ。」


籠をしょい直した稲荷の籠にはその半分程がサツマイモで埋まってはいた。
そのまま順調に行けばすぐに籠はイモで一杯になるはずだ。
けれど。


「よいしょ。」


と、稲荷がしゃがんで新しいイモを入れるたび、籠の中のサツマイモが一つ二つと零れ落ちていけない。
真剣にイモを選んで入れている稲荷はゴロゴロと背中を滑るサツマイモに気付かない。
慶次は慶次でイモを選ぶ事にしか目が無く。
二人して永遠と、一生懸命にサツマイモを拾う姿は中々微笑ましかった。


「……誰か教えてやんなよ…」
Ah?口元が緩んでるぜ人間。
「本当にあれは稲荷神なのですか、政宗様。」
「あれだけcuteな稲荷もいねぇぜ、小十郎」
誠、愛いものでござる。
「愛いものよ。」


………


もう暫く。
もう暫く見守ってから助けに行こうと。
絶対に自分はこんな大人たちと同類なんかじゃないと言い聞かせて。
駒は静かに拳を握り締めた。



稲荷と食欲の秋



「入れたそばから落ちてるんですけど…」

「こまさん!!」

「ほら、私入れますからじっとしてて下さい。」

「ありがとうな!!」

「いえ、別に…」

「おいなりさまー!!火ついたってよー!」

「すぐいく!!」



「ああ、まだ動かないで下さい。」

「こまさん、こまさん。」

「……何でしょう。」

「こまさんはてつだってくれたから、いちばんでっかいいもをやるからな。」

「……………ありがう、ございます。」

「ん!!」


「ふん、」
「侮れねぇな、てめぇんとこの。」
「我の駒ぞ、侮るな。」


「なぁなぁ何の話?」

「慶次にはまだ早い話だってさ。」

「へーえ……あ、なぁ赤いにーさん!!」

「どうしたでござる。」

「焚き火に栗も入れていいか?ってか入れた。


「「「何!?」」」


「みんなまたせたな!!いもが」
花ちゃん、火から離れて!
shit!てめぇもだ餓鬼!


「「う?」」


バッチーン!!


きゅううううううっ!!!????

あははははは!



二人の額には暫く赤い火傷の後が残ったそうだ。

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稲荷と皆がのほほんやっているだけの話をここまで引っ張ってすみません(汗)
個人的に稲荷を待っていると拍手下さったお客様に捧げたい気持ちでいっぱいです(笑)

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