思わず頭をかいた。 首の後ろあたりがむず痒いのは何でだろう。 らしくも無い。 子供ってのは何でこうも成長が早いんだか分かりゃしないよ。 旦那を見れば拳を握り締めて「慶次…!!」なんて唇を噛んでいる。
まぁ、気持ちは分からなくも無いけどさ。
「……よかったなァ、人間。」
ちゃあんと子供は育ってるみてぇだぜ? いけしゃぁしゃぁと笑う龍神が忌々しい。
「……うるさいよ龍のおっさん。」
ああ。 柄にも無く口元が緩みそうだ。
木刀がそろそろ新調しなければいけないほど痛んできたのも。 旦那がけいじの名に漢字を充てたのも。 そろそろ真剣を与えてみるかと旦那とそんな話をした事も。 今となってはその全てがむず痒い。
人の気も知らないで楽しげに自分の将来を語る慶次を横目に、思わず唇を噛みしめた。
慶次のゆめ
「おきつね様には内緒な!!」
「言わないのですか。」
「こーゆーのは秘密にしとくもんなんだよ!!」
「ほう?」
「むにゅにゅ……にゅ?」
「あ!おきつね様が起きた!!」
「にゅーぅ…、う?」
「ああっ二度寝すんなよおきつね様!!」
「…けいじ?」
「おう!よく寝てたな。」
「花、花、」
「う?かみさま?」
「慶次がな」
「ああああー!!神様!!秘密だって言ってんじゃん!!」
「…きゅ?」
「良いではないか。」 「だめだめだめ!!」
「……Hey、花。」
「う?」
「慶次がな、」
「龍のおっさぁぁぁん!!!」
「…どうしたんだけいじ…」 「花、」 「赤いにぃさぁーん!!!」
「…もう雰囲気台無し…」 「さすけ?」 「何でもないよ。甘味食べる?」 「かんみ!!」
--------------------------
ちょっと成長したけいじです。 おっさんおっさん連呼してますが、龍はともかくまだまだ旦那は若いですよ(笑)
ずいぶんほったらかしにしておりましたが一段落いたしました。 お付き合いありがとうございました!
|