「ぬー…怖かったー。」 「だいじょうぶか?まきお。」 「花ちゃんはようあの早さで落ちへんかったねぇ。」 「いなりだからな!」
ぬう… そんなもんかな。 花ちゃんが日に日に男前で俺どきどきするわ!
「人間ってのは柔でいけねぇなァ。」 「長曾我部元親さんがムキムキなだけやもん。」
頭をやっぱりガシガシ撫でられて、イカリから下ろされた。 すぐそこに見えるのは花ちゃんのお社。 歩いて行った時は結構時間がかかったのに、長曾我部元親さんのイカリに乗って帰って来たら多分行きの半分もかからんかったんちがうかなぁ。
イカリすごい。 イカリの本気ちょうすごい。
「ありがとうな、おにがみさま!」 「いいって事よ。」
いつも酒と米を供えてくれる稲荷とその連れだからな。
花ちゃんがきゅうきゅう言いながらぺこっと頭を下げる。 やぁやぁ、ほんなら俺もぺこりー。
「ありがとうございましたー。」 「てめーもまた遊びに来いや。」
気をつけて帰れよ。
「ういうい。」
もうそろそろ夕がたやしねぇ。 洞窟冒険結構したからちょっと日が暮れてもうたん。 政宗様心配してるかなぁ。
花ちゃんとこももしかしたらさすけさんとゆきむらさんが見に来てるかもしらんよ。 花ちゃんがお社におらんから。 ほらあの二人って花ちゃんの事すごい大事にしてるやんか。 もうすでに来て大騒ぎしてたりして…
「ちょっとあんた!うちの花ちゃんどこやったの!」
事と場合によっちゃあただじゃおかないよ!
そうそうあんな風に―――って、
……… …………
ぬ?
「Ah―!?てめぇらこそ真樹緒を攫ったんじゃねぇだろうな!」
怪我でもさせてみやがれ、五体満足でいられると思うなよ。
「ぬぁぁぁんと無礼な!そちらこそ花を返していただきたい!」
「政宗様に言い掛かりたァ、てめぇ覚悟しやがれ。」
…… ………
「えー?」
あれ、政宗様とこじゅさん違うん。 ほら、完全装備で刀抜いてるあの二人。 何で政宗様とこじゅさん。 やぁ、ゆきむらさんとさすけさんは何となく分かってたけど。
予想外。 政宗様とこじゅさんまで来てた。 予想外…!! 花ちゃんどうしよう…!
「きゅ?」
ゆきむらたちとまきおのとこのおさむらいじゃねぇか。 なかよしだな!
「まじで!!」
ぬー…その顔はちょう可愛いんやけどー。 俺のすさんだ心が満たされるだけで、あんまり向こうの雰囲気が解決しそうにありません!
花ちゃん、もうちょっとしてからお社のとこ行こうー。 暫くここでお話しとこー。 俺ちょっとあの輪に入りたないー。
「行かねぇのか。」
お迎えが来てんじゃねぇのか。
長曾我部元親さんが言うけど、俺はあんな修羅場にのほほんと顔だしたりしに行けませんー。 しゅらばやでしゅらば! 不思議そうに見降ろす長曾我部元親さんに首を振って座り込む。 花ちゃんもお膝に乗せてね。 あの四人が落ち着いたらこっそりお社に戻る事にするん。 肩をすくめた長曾我部元親さんやっぱりまだ不思議そうな顔してたけど、こればっかりはしょうがないん。
「俺ァここらで島へ戻るぜ。」 「ういういほんまにありがとでしたー。」 「あしたのあさにまたおみきとしおをもっていくからまっててな!」 「おぅ!」
今度その人間も一緒に鬼ヶ島にも遊びに来いや。 野郎どもと歓迎するぜ!
爽やかに手を振って長曾我部元親さんはまたイカリに乗った。 是非遊びにいかせてねーって俺と花ちゃんも手を振る。 あれほんまどうなってるんやろう。 鬼さんにはやっぱり不思議な力があるんやなぁ… 俺らを送って来てくれた時みたいにしゅばばばばーて帰るんかなぁって見てたんやけどやぁ。
急に空がピカっと光って(まるで雷やったけど音はせぇへんかったん)真っすぐ長曾我部元親さんへ。 目にもとまらぬ速さで長曾我部元親さんの頭へ。
「花ちゃんあれ…」 「きゅ?」
ドォォォン!!!
「あ、落ちた。」
「あっチィィィィィィ!!!」 「貴様、長曾我部。我の花を誑かすとは何事ぞ。」
鬼の分際でおこがましい。
「あー!かみさま!」 「テメー毛利!何でここに!」 「ふん、我を誰だと思うておる。」
地上の事など全てお見通しよ。
「この野郎…また上を荒らされたいか。」 「野蛮な鬼め。」
目にものをみせてくれる。
「…えー…」
何。 何事。 長曾我部元親さんの顔色がみるみるまに恐ろしい鬼さんに変わった。 こめかみぴくぴくさせてイカリを肩に担ぐん。 かみさま?も何や両手上に上げて戦闘態勢っぽいし… ええ、何ここもしゅらば!? 花ちゃんどうしよう…!!
「きゅう?」
かみさまとおにがみさまもなかよしだな!
「まじで…!!!」
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やっとこ完結しましたキネマ主と稲荷と鬼さん。 長らくお待たせいたしました…! いつもはみんなをひっかきまわすキネマ主が珍しく周りがひっかきまわっていておろおろ。 どうにもならなくなったら多分泣きます(笑)
リクエスト下さった方への御礼は後書きにて。 最後までお付き合い下さって本当にありがとうございました!
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