こーちゃんと一緒に水鉄砲で熱いバトルを繰り広げてなー。 気持ちいいぐらいずぶ濡れになったから今度は日向ぼっこなん。 夏の暑い日差しが今はとっても気持ちいいんー。 真樹緒ですこんにちは!!
「じんわりあったかいなぁー。」 「(こくり)」
こーちゃんがおった岩の上で二人並んでごろん。 ここな、お山から突き出た岩やねんけどな。 下には川流れてて涼しげな音するし、上にはお山から突き出た木が屋根みたいになってていっこもお日様が眩しくないし、超ベストポジションやねんで!
「あ、こーちゃんほらお魚。」
川を見下ろして揺れる水面がきらっと光ったん。 鮎かなぁ? 川のお魚っていうたら。 どう思うー?こーちゃん。
「…」 「こーちゃん?」 「(しゅたっ)」 「ぬ?」
見て、って指差したてんけど振り返ったらこーちゃんが。 こーちゃんがお魚に向かってクナイを構えてました。
…… ………
いやいや。 いやいやこーちゃん。
食べへんよ。 お魚食べへんよ。
「?」 「やぁ、そらぁお昼時やけど。」
お魚はな、見るだけなん。 後で捕まえてさっき作った石のお池に入れるねんで。 やからクナイはいけませんー。
な? しまってしまって。 こーちゃんに言うたら首かしげながらもちゃんとクナイはしまってくれました!
いい子!!
「よしよしー。」
いい子ねこーちゃん。 さすが俺のこーちゃんね。 よしよしー。
こーちゃんの頭を撫でたらまだちょっと濡れててしっとりしてた。 しっとりこーちゃん!!
「あ、」 「?」
やぁやぁ。 しっとりこーちゃんのしっとりな髪の毛撫でてたらやぁ、ちょっと俺思いついたん。
この岩の上から川見えるやんか? ほら、下に。 そんでもってその川の色が結構濃いからきっと深いん。 やったらやぁ、ここから思いっきり飛び込めるんやない?
「ぬー。」
いける。 多分いける。
ほら、天然の飛び込み台やで。 絶対気持ちいい。 服乾かしてたけど、折角川に来たんやからばっしゃーんってしたいやん。
「…うぃうぃ。」
むっくり起き上がって川を覗き込む。
うむうむ。 いい感じ。 とってもいい感じ。
おっきい岩は無いし、流れも緩やか。 これはもう飛び込むしか無くなーい? 無くなくなーい?
「よし。」
こーちゃん、こーちゃん、ちょいとちょいと。
「?」 「俺ちょっと飛び込むから見てて!」 「!?」
思い立ったら即じっこー! 待っててこーちゃん。 俺は鳥になる!!
「(フルフルフルフル…!!)」
こーちゃんが首を振ったけど気にしない! やってもう踏み切ってるもん!
「やー!!!」 「っ!!!」
岩から真樹緒の体が離れて行くのに慌てたのは風魔で。 すぐ様その小さな手を掴み自分の懐に入れる。 ふんわり体が浮く感覚に顔を上げた真樹緒から見えたのは赤い髪。 その後はばしゃんと大きな水飛沫が立って、火照った体はすぐに冷たい川水と白い泡に包み込まれた。
「ぷっは!」
あれ? こーちゃんも一緒に飛び込んだん?
「……」 「ぬ?」
どうしたんこーちゃん。 そんな泣きそうな顔して。 いきなり飛び込んだからびっくりしてもうた? 危ないと思った?
あれやぁ。 ごめんなー。 ちょっと飛びたい気分やったん。
「ほら、下は水やし。」
大丈夫かなーって。
「…」
正直、先程水鉄砲で狙われたのとは比べ物にならない程風魔は驚いたのだが(それはもう心の臓が縮むほどに)ほよほよと笑う主にはどうやっても敵うはずは無く。
「こーちゃん?」 「…」 「?」 「(ぎゅう)」
この己のいたたまれない気持ちが少しでも伝わればいいと、小さな主を抱きしめた。
「ぬー?こーちゃんー?」 「(ぎゅう)」
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