さっちゃんもこーちゃんもお空へ行ってもうて、松永さんと俺と二人きり。 もくもくしてた煙も消えてもうて、お庭にちょっと寂しげな風がひゅるると吹き抜けました。 真樹緒ですよこんにちは!!
「ブモッ。」 「あ、鴨田さんもおったねぇ。」
二人きりやないねぇ。 かんにんかんにん。 ごめんやで。
着物の裾からひょっこり顔を出した鴨田さんのふわふわの頭撫でて、俺の頭の上にひょいとね。 やっぱり鴨田さんはここでなくっちゃー。 俺も落ち着くん。
「やー、それにしても…」
どないしょう。 こーちゃんとさっちゃんを見つけたけどお空行ってしまったし。 政宗様はさがさなあかんし。
ぬー。 待っててもええんやけど、ちょっと時間がねー。 ……お腹減ってきたん。 こじゅさんのおいしいご飯が食べたいなーってね。
「…松永さーん。」
ぬうぬう。 ここは松永さんのお力借りましょう。 くる、っと振り返って名前呼んだら「何かね」って松永さんが首を傾げたん。 やぁ松永さんちょっと相談なんやけどー。
「あんな、」
縁側に上がって松永さんにお願い。 俺と鴨田さん政宗様探しに行きたいんやけど、さっちゃんとこーちゃんまかせていい? ほらもし戻ってきて俺がおらんかったらびっくりしてしまうかもしれへんやんか。 やから俺が政宗様探しに行ったって言うといて欲しいん。
お願いできる?
「…ふむ、」
眉毛を上げた松永さんの着物の袖をちょいちょい。
なー、お願い。 すぐ戻ってくるからやぁ。 ほら鴨田さんもお願いして。 そのキュートさで松永さんをメロメロにして。
「ぶも?」 「お願いーって、ほら。」
ぺこり。 鴨田さんの乗った頭をずずいって差し出したら松永さんが鴨田さんが乗ったまんまの頭をわっしゃり混ぜてくれました。
鴨田さんがぶもっと鳴くん。 これはあれやで。 ご機嫌な時の鳴き声やで。
松永さんの手ぇも優しげ。 ぬー。 これはお許し出た? 俺もちょっと頭撫でられて気持ちええん。
「松永さん…」 「いいだろう。」 「!!」
「私も少し退屈していたのだよ。」 「………ぬ?」
あれ? あれ松永さん何やいい笑顔。 怖いぐらいいい笑顔。 ほんで何で指ぱっちんの準備万端なん?
まじで。 松永さんまじで。 またそれする気ぃなん。
「真樹緒。」
「…うぃ?」
「私は卿らから大層堅気だと思われているようだが、」
「…うぃ、」
「実際馬鹿らしくて可笑しい事にこと目が無くてね。」
……… …………
「まじで!!!」
最近なんとなく分かってたけどまじで!!
それでも時間が無いので笑顔の裏に何かただならぬものを感じながら松永さんに手を振って政宗様探しに出発です!
「あ、松永さん。」 「何かね。」 「忘れるとこやった!」
松永さんにもちゅうなん。 松永さんはかくれんぼに参加してへんから、参加してへん同士鴨田さんとちゅーやで。
ほら、鴨田さん。 さっき撫でてくれた松永さん。 ちゅーしてやー。
「ほら、松永さんもしゃがんで。」 「…、」 「松永さん?」
「いやはや、」
ぬー。 笑ってやんとしゃがんで。 やぁ、さっきのおどろおどろしい笑顔よりは今の方がええけど。 男前なん。
「はい、ちゅー。」
松永さんがちょびっとしゃがんでくれたから鴨田さんを松永さんのほっぺに近づけて。
どうぞー。 ちゅーやでー。
「もももー。」 「よくできましたー。」
「……」
では政宗様探しに行ってきます!!
じゃーねー松永さん! また後で!
「ばいばーい!」
…… ………
「…くくっ……あれの相手はどうしてこうも…」
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