「あ、そうや。」 「ぶも?」 「鴨田さんにもちゅー。」 「モモモ、」
ゆっきーの頭から鴨田さんをそろっと下ろしてこじゅさんとおんなじようにちゅう。 後残るは政宗様とさっちゃんこーちゃんだけなかくれんぼはそろそろ山場にきましたよ。 真樹緒ですこんにちは!!
やー、なんやお腹減ってきたからそろそろお昼かもなー。 こんにちは!!
「ちゅっちゅっちゅー。」 「ぶもももも。」
鴨田さんにもちゅういっぱいして、くるって振り返ったらおシゲちゃんとゆっきーがこじゅさんにな何やら詰め寄ってるところでやー。
あれー? さっきまで皆仲良しさんやたのに何でやろう。 あの辺りの空気が何か近づきたくない感じ。 鴨田さんわかる?って首かしげたら鴨田さんはいつも通り「ぶも」って言いながら俺とは逆の方に首かしげてました。
ぬー。 かわいいん。
「何か取り込み中やねぇ。」 「ブモ。」
ねー。
おシゲちゃんは「普通こういうのってお父さんとお母さんならお母さんの方が先でしょ!!」って怒ってるしー。 ゆっきーはゆっきーで「ぬあぁぁぁんと破廉恥なぁぁぁぁぁ!!」って叫んでるしー。 こじゅさんは「てめぇら覚悟は出来てんだろうなぁぁ!!」って縄を脱出して恐ろしいん。
あんまり畑で暴れたらあかんよー。 それこそこじゅさんに怒られるん。
「なぁなぁ、鴨田さん。」 「ぶも?」 「ちょっとあそこ入れやん雰囲気やん?」 「ぶもも。」
せやからな、さっちゃんとこーちゃんは俺らで探しにいかん? 大体のねぇ、見当はついてるん。 大丈夫。 俺に任せて。
なぁ、鴨田さん。 俺とかくれんぼデートとかどう?
「どう?」 「ブモー。」 「おっけ?」 「モモモ。」
よしよし。 鴨田さんのおっけー出ました!
って事で鴨田さん、いつもの位置にすたんばってー。 ほい、って手を持ち上げたら鴨田さんが俺の頭にジャンプ。 もぞもぞ動いてたけど暫くして落ち着いてくれたから出発なん。
ほら、さっちゃんとこーちゃんのとこへ。 場所はなー、だいたい分かるねんで。 さっきからお空が騒がしいもん。
「…ぶも?」 「もら、あそこ見て。」
よーく見て鴨田さん。 あそこの木ぃの上らへん。 イチョウの木ぃらへん。 カンカンキンキン言うてるやん?
そおっとおシゲちゃんらから離れて畑からまたお屋敷へてくてく。 また後でちゃんと迎えに来るからねーっててくてく。
あそこのイチョウへはな、お城の裏っかわから回るねんで。 てくてく歩きながらたまにさっちゃんとこーちゃんを確かめて。
「相変わらず仲良しさんよねー。」 「ブモモ。」
てくてく。 でもやぁ、はよう行かなあかんの。
「ちょっともう、本当いい加減にしてくれないかなぁこーちゃん!!」とか。 「(イラッ)」
シュッシュッシュッ!! とか。
結構激しい二人やけど、あのまんまやったらあそこちょっと危ないねんで。 ほらイチョウの木ぃあるとこ。 さっちゃんとこーちゃんは知らんかもしれへんけどなあそこってやぁ。
「…卿らは本当に私を苛立たせる術を心得ている。」
いやはや。 感服感服。
ドカンドカンドカン!!!
松永さんのお部屋あるんやもん。 イチョウの木の近くに。
静かなひとときが大好きな松永さんの近くで騒いだらもれなく指ぱっちんされるん。 二人とも気をつけて!
「ちょっ!何今の爆発!!」 「(チッ)」
「あー、やっぱり指ぱっちんされとったー。」
がさ、って草むら抜けたら松永さんのお部屋の前のお庭やで。 生垣跨いで来るんがちょっと近道なん。
さっき爆発聞こえたやん? やからきっと二人ともここに降りてるかなーって思ってやってきのですよ。 ほんならやっぱり!!
「真樹緒!!」 「!!」 「二人ともみーつけたー。」
「おや、」
ついでに松永さんもみーつけたー。 やぁ、別に松永さんかくれんぼしてへんけど。 見つけた!
「はやり卿が噛んでいたか。」
あごをさすりながらため息ついてる松永さんに笑う。
ちょっと騒がしかった? かんにんなー。 でもほらかくれんぼやから。 ゆるしてー。
「かくれんぼなん。」 「ほう、」
顔とか髪の毛とかすすけて真っ黒けなさっちゃんとこーちゃんに近寄ってぎゅう。 ほら逃げられたらあかんから。 ほんならさっちゃんが「何でここにいるのが分かったの」って。
…… ………
やぁ、すぐ分かるん。
「…さっちゃんとこーちゃんお空で騒いでたやん。」
そらぁ、すごい勢いで。 下からも見えてたよ。 カンカンキンキン見えてたよ。
「あらら。」
そんな激しかった? こーちゃんがしつこくって。
ぬー。 肩をすくめるさっちゃんは男前やけど葉っぱとか土とかいっぱいついとるよ。 ほらじっとしてて。
「うん?拭いてくれるの?」 「手ぬぐいもってるん。」 「(いらっ)」 「こーちゃんも。」 「!」
二人の頬っぺたと髪の毛についてるすすを払って、元通りのイケメンにして一息。 さあさあ二人ともかくれんぼの続きやで。 こっち向いてちょうだいな!
松永さんはなんや面白そうにこっち見てるけどもう怒ってへんのやろうか。 によによしてるん。
「さて卿はどのように楽しませてくれるのか。」
によによしてるん。
ぬー? 何のことやろうか。 かくれんぼやで? さっちゃんとこーちゃんを見つけたから俺の勝ちなん。
「最初はちゃんと潜んでたんだけどねーぇ。」
どっかの誰かさんが邪魔しに来てさ!
さっちゃんが俺の背中にのっしり乗りかかりながらちら、ってこーちゃん見たん。 ほんならこーちゃんがクナイをキラッって。
…… ………
投げるんやなくて持ってそのまま直接さっちゃんに襲い掛かりました。 いつの間にかさっちゃんの背後に回っててびっくり…!!
「こーちゃーん!!」
えー!! こーちゃん、さすがにそれはちょっと!!
まった! ちょっとまったこーちゃん!!
あかんてー。 ストップストップ落ち着いて! さっちゃんとこーちゃんの間に入って両手で踏ん張ってみる。
全然全くかなわんけどな。 みっちりは挟まれて動けやんけどな!
「くくく。」
松永さんも見てやんと助けて欲しいねんけどな!!
助けて松永さん。 この二人のぴりっとした空気どうにかして。 そんな肘ついてのんびりこっち見てやんとやー。 ほら、お得意の指ぱっちんでお願い。 むう、って松永さんにらんだらやぁ。
「そのまま続けたまえ。」
実に愉快だ。 松永さんの口がそう動いてやるせない風がひゅるると吹き抜けました。
ぬー!! せちがらい!!
「ちょっと、今俺様真樹緒とお話してたんだけどー?」
どういうつもり? もうアンタの相手は散々してあげたでしょ。 俺、いい加減真樹緒とイチャイチャしたいんだけど。
「(ギリ…ッ)」
主に触れるなどと身の程を考えろ。 毎度毎度どれだけ己を憤らせたら気が済むのか。 身を以って思い知れ。
「……ぬー…」
せちがらい…!!!
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