おシゲちゃんとゆっきーと、やっぱり仲良く手ぇつないでやってきた畑はいつもと変わらずとっても広くてお野菜がたくさん実ってます!! ごぼうと里芋がそろそろ収穫時なん。
さぁさぁこじゅさんどこに隠れてても俺が見つけてしまうわよ! なんたってこっちにはゆっきーとおシゲちゃんがおるんやからー。
ぬー。 ひゃくにんりき。 真樹緒ですこんにちはー!
あ、野菜を収穫する時はこじゅさんがちゃんと呼んでくれるんやで。 俺と、こーちゃんと、時間があったら政宗様と揃ってこじゅさんのお手伝い。 おシゲちゃんはそんな俺らの所に「ご飯だよー」って、「一息つきなー」っておにぎりを持ってきてくれるのですよ。
奥州のお母さん!!!
「見事な畑にござるな!!」 「小十郎ご自慢の畑だからねー。」 「奥に田んぼもあるねんで!」
畑まっすぐいったところにあってなー。 近くの川から水も引いてるん。 水車もあってね、田植えをお助けしてくれるマガモ部隊がおるねんよ。 ちなみに鴨田さんはマガモ部隊のリーダーやで。
「…、そうだったの?」 「今決めたん。」
ほら。 いっつも鴨田さん畑見回ってるやん。 他のかもっ子がガアガア言うてる時に。 やからリーダーなん。 リーダーってゆうても特にする事は無いねんけどな!
「そういや今日は見てないね。」 「あー、ほんまやねぇ。」
俺と一緒におる時以外はたいてい畑におるのになぁ。 お池に浮かんでたり畑のあぜ歩いてたりしてるのになー。 どこにおるんやろう。 鴨田さんもかくれんぼなんかなぁ。
ぬー。 俺がきょろきょろ畑見渡してたらゆっきーが「真樹緒殿、」って。
「ぬ?」 「その鴨田さん?とは…」
どなた殿の事でござろう。 きょとんと首かしげて俺を見下ろしてたん。
おおおお…!! ゆっきー!!
可愛いゆっきー!! 首かしげちゃって!
そんな可愛い顔しちゃったらもれなく俺が恥ずかしくなっちゃうじゃないー。 もー。
「これだからイケメンはー。」
もー。
「む?いけ…?」 「…真樹緒、」
真田殿がまたきょとんとしちゃうから。 大体何考えたかは分かるけど、ちゃんと聞かれた事には答えてあげようね。 そしてさっさと小十郎探そうね。
分かった?
「うぃ。」
奥州のお母さんの言うことはちゃんと聞かなあかんねんで。 やからゆっきーを見上げて。
あんなあんなゆっきー。 鴨田さんってな、鴨の子供なん。 でもちょっと他のかもっ子と違ってやぁ、ブモって鳴く素敵な鴨田さんなのですよ。 可愛いん。
いっつもは俺の頭の上に乗ってるんやで。 言うたらゆっきーが笑ってくれた。
「おお、それはそれは。」
一度拝見しとうござる!
「ゆっきーにも紹介しようと思ったんやけどー。」
おらんの。 さっきから畑見渡してみてるんやけどおらんねんー。 水車小屋の方へ行ってるんからぁ。
ぬー。 こじゅさんも探さなあかんし行って見ようかなー。
「水車小屋へ行くの?」 「うん。」
鴨田さんもおらんし、もしかしたらこじゅさんもおるかもしれへんやん? やから水車小屋!
ほらほら行きましょーって二人の手を引っ張って畑を進む。 右にはそろそろ種まきするあぜ(そら豆の種まくん)、左には収穫待ってる牛蒡。 踏まんよーにずんずん進む。
おシゲちゃんが「真樹緒こらそんなひっぱったら転ぶよ!」とか。 ゆっきーが「なんと真樹緒殿、枇杷の木が!」とか言ってるけど気にしない! 水車小屋へいそげいそげ。
あ、ゆっきービワは後で食べような。 いつでも食べて大丈夫ってこじゅさんに言われてるから。
「さっき栗きんとん食べたでしょ。」 「でもビワも食べるん。」
まだまだお腹は大丈夫。 なー? ゆっきー。
「是非ご一緒させていただきたく!」
ほら。 ゆっきーも食べるって。
「…」 「う?」
もう、ってため息吐いたおシゲちゃんは何だかお疲れ?
どうしたん? 食べたらあかん? まだ晩御飯までけっこうあるから大丈夫やと思うん。
ほんなら見上げたらおシゲちゃんは「好きにしな、」って頭撫でてくれたん! やっぱりおシゲちゃんは優しい奥州のお母さん!
「はいはいありがと。」
ほら水車ついたよ。 小十郎と鴨田さん探すんでしょう。 おシゲちゃんが指差した先にはぐるぐる回る水車。 かやぶき屋根の水車。
そうそうあれ! 鴨田さんとこじゅさんおるかなぁ、って周りを見渡してたらゆっきーが。
「む、」 「ゆっきー?」 「…、成実殿。」
じぃ、って水車小屋見たまんま止まったん。 何や真剣な顔やで。 ずーっと水車小屋がある方見てな、俺が呼んでも動けへんのゆっきー。 ほんでおシゲちゃんの方をちらって。
「ん?あー…、うん。」
そうだね。 そうだね真田殿。
いるね。
「ぬ?」
またまた俺に分からんアイコンタクトなん。
もー。 二人ともそんないつの間に仲良くなったんよー。 俺さみしいやんー。 ほっとかんとって。
「真樹緒殿。」 「なぁに?ゆっきー。」 「多分ね、鴨田さんいるよあそこに。」 「おシゲちゃんそれほんま!?」
うん。 それと他にもね。 おシゲちゃんが笑う。
やぁ、ゆっきーと一緒で水車見たまんまやけど。
「ぬ?」 「ちょっと呼んでみたら?」 「某も鴨田殿を拝見しとうございます。」 「えーそお?」
でも何で二人ともこっち見てくれへんの? 水車ばっかり見てるん? なぁなぁって両手をくい、っと引っ張ってみたけど「ほら早く」っておシゲちゃんに言われただけでした。
ぬー。 やぁ、ほんなら一回呼んでみようかなー。
うん。 では、いっせーのーせ。
「鴨田さーん!!!」
出てきてー。 そこにおるんー? 真樹緒が来ましたよー。 畑におらんからちょびっと心配したよー。 一緒にこじゅさん探しましょー。
鴨田さーん! 名前呼びながら小屋の方へ近寄って、小屋の扉開けたら。
「ぶもッ!!」
あ、おった。 ほんまにおった。 鴨田さんみっけ!! 水車小屋の中でちょこんと羽ばたいてました!
「行ったよ真田殿!」 「承知!!」
…… ………
「ぬ?」
やぁ、あれ? 鴨田さんと感動の再会やのにあれ? おシゲちゃんとゆっきーどこ行ったん。 二人とも手ぇ繋いでたはずやのに。
いつの間に。
「あれ?」 「ぶも?」
どこ。 二人ともどこ。
小屋から出てぐるって見渡したら田んぼの方からおっきい声が。 あれはおシゲちゃんとゆっきー! それから。
「成実殿!そちらに追い込みまする!」 「了−解ってね!!」 「チッ!飛び道具使うたぁ何事だてめぇ!」 「鬼の小十郎なら縄標ぐらい避けないとー!」
こじゅさん!! あそこにおるのん絶対こじゅさん! おシゲちゃんとゆっきーに挟み撃ちにされてるん。 挟み撃ちにされて何やもの凄い武器で攻撃されてるんこじゅさん。
いつの間に!!!
「…鴨田さん、こじゅさんとおったん?」 「ぶもー。」 「ずっと?」 「ぶもぶも。」
そっかー。 こじゅさんとおったんかー。 …せやったらほんま、いつの間に水車から田んぼに移動したんやろう。
ミステリー!!
「ブモモ。」 「ん?うん、皆のとこへ行こかー。」
鴨田さんを頭の上に乗せて田んぼへ走る。 やって俺が鬼やからな。 やっぱりこじゅさんは俺が見つけなくちゃ!!
何だか遠くから見た感じ鬼ごっこやけど今俺らがやってるのはあくまでかくれんぼ! って事でれっつごー。
「ご覚悟めされよ片倉殿!!」 「っ真田!」 「もう逃げられないからね小十郎。」 「成実…!」
可愛い真樹緒が待ってるんでね。
かくれんぼは真剣勝負にござる。 真樹緒殿のため、神妙にいたされよ。
「…てめぇら…」
こじゅさんが縄でぐるんぐるんにされてて眉毛吊り上げながらおシゲちゃんとゆっきーを睨んでても、やっぱりこれはあくまでかくれんぼ!!
ぬー。 それにしてもゆっきーとおシゲちゃん、ちょう楽しそうやね。
「ブモッ。」 「なー。」
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