「かくれんぼする人、この指とまれー。」
「そら。」 「失礼をば。」 「はいはい俺様も。」 「(ちょん)」 「真樹緒に誘われちゃぁね。」
人差し指を立ててぐん、って腕伸ばしてみたら政宗様にゆっきー、さっちゃんとこーちゃんおシゲちゃんがその指にしっかりとまってくれました。 自分よりおっきい人に埋もれそうになりながらもちょうご機嫌な真樹緒ですよこんにちは!!
やぁ、でもさっちゃん何やらポンチョがほつれてるけど大丈夫? こーちゃんにきらっと光るクナイ投げられとったけど大丈夫?
「もうほんっとう、真樹緒のこーちゃん激しすぎ。」 「ごめんやでー。」
大丈夫? 大丈夫。
うし! ほんなら第一回奥州かくれんぼ大会始まるで!
「あれ、でも一人足りなくない?」 「Ah―…そういやぁ。」 「ぬ?」 「片倉殿が。」 「ああ小十郎だね。」 「っ…!!」
ほら、真樹緒。 小十郎呼ばないと。 一緒にかくれんぼするんでしょ。 おシゲちゃんがゆうたらこじゅさんがちょびっとびくっとしたん。
「やぁ、ほんまや。」
こじゅさんがおらん。 かくれんぼは皆でせなおもろないのに。
皆がとまってくれてる指をじぃー。 それから皆に埋もれながらこじゅさんをじぃー。 やっぱりこじゅさんがびくってなったけど気にしないー。
「…こじゅさん。」
ほら、こじゅさんはよう指にとまって。 皆でかくれんぼやで。 もちろんこじゅさんもやで。 参加する人が多いほど盛り上がるんやで。
やからほら。
「こーのゆーびとーまれー。」
こじゅさんの前で指をふりふり。 皆が掴んでる方と違う方の手をふりふり。
そんなじりじり後ろ下がってもあかんねんで。 困った顔してもあかんねんで。 ほーら、こじゅさんこの指とーまれー。
「…小十郎。」
腹をくくれ。 子供の遊戯じゃねぇか。
ですが一国の主が遊戯に興じていてどうします。 しかも他国の武将まで巻き込んで。 そして現状を止めねばならない成実が乗り気なのが頂けません。 あれは最後の砦でしたのに何という事ですか。
成実が真樹緒に甘いのは今に始まった事じゃねぇだろう。 一番厳しいのが成実なら一番甘やかしているのもあいつだ。 飴と鞭の使い方には恐れ入るぜ。
「……」 「……」
「ぬ?」
こじゅさんと政宗様がながーいアイコンタクトをして、何やため息とか吐いちゃって。 なになにどないしたん。 首傾げたらこじゅさんがちょこん、って。
「真樹緒、」 「あ。」 「…これでいいか。」 「!!」
とまった!! こじゅさん指にとまった!!
俺の指つかんでくれたん!! お手柔らかにな、ってつかんでくれたん!
このゆびとまれ! こじゅさんのこの指とまれ!
「ばっちし!」
こじゅさんばっちし! これで皆でかくれんぼできるで! ほらほらこっちきて。 こじゅさんの手ぇぎゅーってして引っ張った。
すぐに始まるで。 隠れるとこはお城全体なんやで。 本気かくれんぼなんやで!!
楽しみ!!
「…俺様にしてみれば奥州の御方達は皆真樹緒に甘いと思うけどねー。」
「溺愛にござるな!」
「内容のよく分からない真樹緒の誘いに乗って奥州に来てるあんたらも大概だと思うけど。」
「(こくこく)」
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