「政宗様。」 「Ah―…」 「真樹緒。」 「…うぃ。」 「覚悟はよろしいか。」 「「っ!?」」
目の前にいるこじゅさんが怖い。 鬼のように怖い。
ちゃんと説明したのに。 正座してやぁ政宗様とごっつんこしたら入れ替わってもうた、って説明したのに。 ちょっと暇やったからやってみてんよ、って説明したのに。
正直にゆうたのに、ゆうた後のこじゅさんの方がもっと怖かったです…! 背筋がぴんと伸びたまま動けない真樹緒ですよこんにちは!
あんな、こじゅさんがこーちゃんと帰ってきたん。 氏政のじぃちゃんのとこから。 ほんでやぁ。 こーちゃんに捕まっちゃって。 しかもこじゅさんに俺と政宗様が入れ替わってる事がばれてもうて。
「全くてめぇらは…」
ものすごい怖いんですよ…!!!
助けて、っておシゲちゃん見ても首ふるだけ。 さっちゃん、ってさっちゃん見ても肩すくめるだけ。 ゆっきーはまだ伸びてるし。 こーちゃんはこじゅさんの背後で何や怒ってる感じやし。
「ぬーん。」
はっぽうふさがり…!!
「チッ、予定より帰って来るのが早いぜ…」 「何か申しましたか政宗様。」 「………Nothing…」
政宗様も正座させられてな、俺ら今向かい合わせなん。
分かる。 分かるで政宗様。 今のこじゅさんちょっと目ぇ合わせれやん感じよね…! 背筋も伸びてまうよね…!
「…真樹緒、」 「…うぃ。」 「政宗様。」 「…What…」
俺らがうつむいてじーっとしてたらな、こじゅさんが俺らの頭がしって掴んだん。 久しぶりの素敵握力は頭を握りつぶされそうなぐらい強くて逃げられません。 びくともしません。
…… ………
怖い!!
「こ、こじゅさん?」 「こ…小十郎…、」 「……歯ァ食い縛れ。」 「「!!??」」
その後こじゅさんは低い声で呟いて。
ゴッ………!!!!
俺と政宗様の頭を思い切りぶつけました。 何のためらいも無くぶつけました。
「わぁーお。」
痛そう。 気が遠くなる中、さっちゃんのそんな声が聞こえて、
痛そうやなくて痛いん! 思いっきり叫んだつもりやってんけど自分の声すら聞こえやんくって目の前は真っ白。 前におるはずの政宗様の事もよう分からんようになって、俺の意識はそこでぷっつんと途切れました。
やぁでも目ぇ覚めたらちゃんと元に戻ってたで! 政宗様とお揃いのたんこぶこしらえてな!
「全く人騒がせな。」 「(こくこく)」 「ぬー…たんこぶ痛いんー。」
たんこぶ。 政宗様と同じとこにぷくっと出来てもうてん。
「…小十郎の野郎。」
主に何て事しやがるんだ。
終!!
|