01



夏真っ盛り。
冬は凍えるよーな寒さの奥州も、夏はやっぱり暑いのです。
セミもみんみん鳴くのです。
一人ラジオ体操を終えた真樹緒ですー。


やぁ、夏って言うたらラジオ体操やん?
俺、小学校まで近くの広場で夏休みは毎日ラジオ体操やってたん。
あれ行ったら上級生のお姉さんがハンコ押してくれてなー。
全部うめたくて頑張ってたん。
えらいやろ?
皆勤賞!


「政宗様おはよー!!」


そして朝一番のご挨拶は政宗様のお部屋から!
おはようございます!!


「Good morning真樹緒。」
「ぬ?起きてたん?」


あれやぁ。
俺、寝てる政宗様のお腹に飛び乗ろうと思ってたのに。
びっくりさせようと思ってたのに。
楽しみにしてたのに。
政宗様起きてた!


いつも通りのイケメン政宗様は髪の毛かきあげながら俺を見て笑う。
ぬー。
俺はちょっと残念な感じで政宗様のお布団にのそのそ。
お前こそ早起きだな、って言う政宗様の前にのそのそ。


「あんな、」
「うん?」
「俺ちょっとこーちゃんと川行ってくるー。」
「Ah?川?」
「うん。」


実はやぁ。
聞いてー。


昨日の晩暑いー暑いーって俺、冷たい廊下を転がってたん。
ほんならあんまり自由に転がってたもんやからお庭に落ちそうになってな、こーちゃんがしゅたっと受け止めてくれたん。
すごいんやでこーちゃん。
お庭と俺の距離たぶん30センチも無かったのに!
はからずもお姫様だっこですよ!!
…ちょうこーちゃんに怒られたけど。


…また転がってたのか。
やって床、冷たて気持ちよかったんやもん。


ひんやりしてたん。
でもずうっとおったら温もってくるからごろっと転がってみてん。
結構快適でしたのよ!


「分かった分かった。」
「ぬー。」
「で?」
「う?」


うりうり頬っぺた撫でてくる政宗様の手から逃げてたら政宗様が「川が何だって?」って。


「ああそうや!」


川やん川!
受け止めてくれた後こーちゃんが川行こうか、って言うてくれてんよ!


「ほう?」
「そんなに暑いんやったら川に行きますかーって。」


ここから結構近いんやって。
流れもそんな急やないし、危なく無いんやて。
やから俺今日起きたらすぐに政宗様にお願いしようと思ってやぁ、来たん。


「行っていい?」


政宗様のお膝に乗ってお願い。


川で遊びたいん。
ほら、もう暑くって俺とろけそうなん。
やから川。
なぁ、って政宗様を覗き込んだ。


「Hum…」
「まさむねさまー。」


お願いー。
かわー。
川行きたいんー。


じぃ、って政宗様見たら政宗様も俺を見てた。


おお。
これはきっともうちょっとで政宗様のお許しが出ますよ。
「どうするかなァ、」なんて言うててもきっと政宗様の答えはおっけーですよ。


「まさむねさま。」


政宗様にぴとってくっついてお願い。


なぁー。
川、絶対気持ちいいん。
涼しいん。
俺海は行ったことあるけど川行ったこと無いん。


やから、お願い。


おでことおでこをくっつけてじぃー。
政宗様笑ってるからもう、あとちょっと。
もう一回「まさむねさま」って名前呼んだら。


「仕方ねぇなァ。」


真樹緒がそう言うなら、って笑ってくれたん!!


ほら!
政宗様いいって!
おっけー出たで!!


「政宗様ありがとー!!」


政宗様の首に飛びついてぎゅー。
俺、政宗様やったら許してくれると思ってたん。
ありがとー。
俺うれしい!


「You're welcome。」
「おぉ!?」


ありがとありがと、って政宗様にぎゅうぎゅう巻きついてたら政宗様が俺を小脇に抱えて急に立ち上がった。


やぁ、びっくりするやん。
なになに政宗様。
そんないきなり。


「Ah?川へ行くんだろう?」
「う?」


うん。
川で遊ぶん。
朝から暑くて俺もう蕩けそうやから。


でもやぁ、政宗様。

「Ah?」

政宗様はお仕事あるからお留守番です、ってこじゅさん言うてたで?


昨日。
実は俺とこーちゃんが感動のお姫様だっこな瞬間にこじゅさんが立ち会ってくれてました。




あァ!?
さぁ政宗様、ご存分に政務にお励み下さいませ。
「っ小十郎…!?」



襖をスパンと開けたこじゅさんに政宗様の体が揺れた。



政宗様がんば!!



俺とこーちゃんは川へ行ってきますー!!


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