「こじゅさん…松永さん…」
こじゅさんが刀を構えたら、どこに持ってたんか松永さんも刀取り出してやぁ。 目にも留まらぬ速さでカンカンキンキン刀がぶつかって、弾けるその瞬間に見えるキラっとしたのはもしかしたら火花かもしれません。 せちがらいなんて言ってる場合じゃなくなってきました真樹緒ですこんにちは!!
「は、卿の本志はその程度かね。」 「ほざけ。」
腕が震えてるぜ。
… ……
怖い!! こじゅさんも松永さんも顔笑ってるのに真剣勝負でちょう怖い!!
何なん。 何で二人ともパチパチ言うてるん。 恐ろしい!!
「ぬー…」
政宗様。 ちょっと政宗様。 こんな一大事に何してるん! 一人ぼっちで途方にくれてる真樹緒君がここにいますよ!
助けてやー!! お迎えにきてやー!!
俺こどく!! ちょうこどく!! 政宗様に会いたいんー!!
「呼んだかsweet。」 「ぬっ!?」
やぁ、ほんなら政宗様がひょっこり。 ほんまにひょっこり。 俺がちょっと前に焦ってたんをどうしてくれるんっていうぐらい普通にひょっこり襖がスパンって開いて政宗様現れてん!!
「会いたかったぜ。」 「んぅっ、」
政宗様が俺の腕引っ張って襖を閉めた。 縁側におった俺はそのままごろんて畳の上に転がってやぁ。 のっしりお腹に乗っかってきた政宗様がちゅって。
「…政宗様どっから…」
さっきからこじゅさんに怒られてたんやなかったっけ? ちゅっちゅしてくる政宗様見上げながら聞いたん。 ほんならこじゅさんが何や突然「松永ァァァァ…!!」って叫びながら走り出したらしいで。
「…まつながさん?」 「久方ぶりに鬼の小十郎を見たぜ…」
政宗様のおでこからきらっと光る汗が流れ落ちました。 ぬーん。
「おに…」
鬼やて。
やぁ、さっきのこじゅさんは確かに鬼やったよなぁ。 ちょう怖かったん。 もしかしてこじゅさん俺の危険を察知してくれたんやろうか。
…… ………
何センサー!!
「ぬぅー…」
あれやろうか。 こじゅさんって松永さんとちょびっと仲悪いから何やそんな匂いとか分かるんやろうか。
何センサー!!
「あ、」 「どうした?」 「政宗様は何でここにおるん?」
そうそう。 こじゅさんは分かったけど政宗様は? 俺のおでこにちゅうしてた政宗様を見上げた。
「俺か?」 「うん。」
やってやー。 政宗様、俺とこーちゃんがお城の屋根に行ってもうたとこまでしか知らんやろう? その後俺落ちてもうたのに。 何で俺がここにおるん分かったん。
首かしげてみたら政宗様がきょとん、って。 ほんでくくくって笑うねんで。
「あ、何で笑うんー。」
そらぁ、笑った政宗様は男前やけどやー。 俺の質問に答えてくれなくちゃー。 もう、って唇とんがらせたら絶対ちゅうされるからほっぺたぷくって。 それでも油断はできやんのやけど! ほら、政宗様ほっぺたにもちゅうするん好きやから。
「真樹緒。」 「にゅっ!」
ほら! ほら見た! やっぱり政宗様のちゅうやで。
もうー。 政宗様ちゅうばっかり! ちゃんと俺のお話聞いてたん。 じーって政宗様見たら「of course」って。
「ぬー。」 「なぁ、真樹緒。」 「なんー。」
お前の気配ぐらいどこに居ようと探ってみせる。 小さな、それでいてほよほよとした気配はやたら甘ったるい空気を振り撒いて。 まるでそこに春でも来た様な温かさだ。
なぁ、真樹緒。 どこに居ようとお前だけは。
「くく…」 「政宗様?」 「つまりは、だ。」
真樹緒。 そう俺の名前を呼んで政宗様が笑う。
「愛だろう。」
Sweet.
「あ…」
政宗様が。 髪の毛をゆるゆるなでて鼻先にちゅってして笑う。 口の時はな、ちょっと長いん。
「んんっ…」
それからやっぱり笑って。
やぁもう政宗様。 ちゅうばっかりしてたら俺、ぼーってなってくるやん。 力抜けてしまうやん。 ほう、って息吐いたら笑ったまんまの政宗様が俺の首にちゅう。
「っう!?」
ちょっとさっきまでのちゅうと違って俺はびっくりしてもうて。 肩がひくり。 ニヤリって笑いながら舌をぺろっと出した政宗様に肩がひくり。
「ま…政宗様…?」
やってやぁ、何か政宗様の雰囲気が。 ほら。 雰囲気が。
ちょっと前のおっぱいのくだりな政宗様とデジャヴ!!
「さぁ、真樹緒。」 「な…なん…」 「子作りの続きといこうぜ。」
もにっ。
「ぬー!!やっぱり揉んだー!!」
デジャヴ!!! 政宗様デジャヴ!! ちょっとさっきよりも手つきがやらしいー!!
もー! さっきまでイケメン政宗様やったのに!! おっぱい揉むんは別にええけど、子作りはかんにんって言うてるのにー!
「真樹緒。」 「…なん…」 「案ずるより産むが易しだそうだ。」 「今そのおちゃめは笑えやん…!」 「茶目にする気はねぇからな。」
もっと笑えやん…!!
物凄い速さで政宗様が俺の着物を脱がそうとするん。 俺はじったばった。 帯を解かれやんようにじったばった。 でも畳動きにくいし、政宗様は上からのいてくれへんし。
まずい。 これはまずいん。 政宗様が本気になったら俺、絶対敵わん自信ある。
やってやで。 俺政宗様とのちゅうも好きやし、くっつくんも好きやし、別におっぱい触られるん嫌やないし。 政宗様好きやし。
「…、」
でも一番の問題あるやん。 ほら、根本的な。 思い出して。 ……俺今女の子なん…!!
心のじゅんびができてへんの!!! やからかんにん!! やっぱり嫌なんー!
「真樹緒。」 「うぃ…」 「本当に嫌か。」 「っ…」
政宗様が俺の口にちゅう。 今度は一回触れるだけ。 優しいちゅうなん。
そんなんするから、もうほら。
「真樹緒、」 「うう…」
政宗様ちょびっと本気やん。
そんな真剣な目で見んとって。 優しいちゅうせんとって。 俺落ちてまう…!! すぐに落ちてまう…!!
やばいん!!
「あ…う…」
もう、こうなったら。 こうなったら俺の最終兵器。 こじゅさんよりも実は強いんちゃうかなぁとか最近思ってる最終兵器。
いきます。
「お、おシゲちゃーん!!!」
そうおシゲちゃん。 奥州のお母さんなおシゲちゃん。 俺負けそうなんおシゲちゃん!! 政宗様に負けてまいそう!
助けて!! たーすーけーてー!! 思いっきり呼んだん。 喉痛くなるぐらい呼んだん。
ほんならな!
「何してるのかなァ、梵?」 「What’s!!??」
ほんまにおシゲちゃんが。
「お…おシゲちゃーん!!」 「はいはい、こっちに来なさいね。」
さぁ、梵。 こんなちっさな真樹緒に一体何してたのかな? 俺に言ってみなさいよ。 清廉潔白に言ってみなさいよ。 内容によっちゃぁ許さないから。 真樹緒のおっぱいは俺が守る。
「チッ、成実てめぇ…」 「ぬー!おシゲちゃんー!」
お母さんモードのおシゲちゃんは笑顔やけれどもとっても格好よくって。 政宗様の下から俺を華麗に救出してくれました!
おおきにおシゲちゃんー!! 俺もうちょっとで政宗様と子作りするとこやった!!
「…さぁ、梵。」
俺は本気だよ。 伊達に奥州のお母さんやってないよ。 まだまだうちの娘はお嫁にやるつもりはありません。
「っこの小姑が!!」 「失礼な!お母さんって言ってくれる!」
「……政宗様…おシゲちゃん…」
その後何でか政宗様が刀六本持ち出して。 おシゲちゃんはそれをハタキ六本で受け止めて。
「………ぬ?」
あれ? お部屋の中やのにどうしてだか二人とも臨戦態勢です!!
っていうか政宗様刀どっから!! おシゲちゃんもそんなハタキどっから!! でもハタキで政宗様の刀を受け止めたおシゲちゃんがちょびっと格好良かったのは内緒です!
終!
|