こーちゃんがなー、何やおかしいねんー。 さっきからずうっと俺の首元に頭うずめてるん。 ほわほわなこーちゃんの髪の毛がちょびっとくすぐったい真樹緒です。 こんにちは!!
「ぬー。」
こーちゃんの髪の毛を撫でたらびくってこーちゃんの体が揺れてもうて、どうしたもんかとお城の屋根でお空を眺めてみたりして。
今日もいいお天気―。 下からこじゅさんの声と政宗様の声が聞こえてくるけど、お外はいいお天気ー。 あ、カラス飛んでるけどカー君やろうか。 ぬー。
「あれ?」
ぬー? ちょっと待って。 あのカラスやぁ。 んー、カラスって言うよりカラスと一緒に空飛んでるんてもしかして。
「…さっちゃん?」 「(ぴくり)」 「あ、こーちゃん起きた。」
あんな、こーちゃんあれ見て。 あの黒いのカラスやん? でもな、カラスにぶらさがってるのってあれさっちゃんちゃう? ほら迷彩のポンチョがトレードマークの。 こっちに近づいてきとるよ。
ぬー。 何で奥州におるんやろうなぁ? お仕事やろうか。
「…」 「こーちゃん?」
ちっさく見えてる(多分)さっちゃんを指差してこーちゃん見上げたら、何だか只ならぬ気配です。 いっつものこーちゃんとは違う感じです。
やぁ、こーちゃんはさっちゃんに会ったら伝説のお忍びさんに戻ってまうんはいつもの事やねんけど、今日のはちょっと違うん。 何ていうかオーラが。 俺でも分かるぐらいのぴりぴりしたオーラが。
「…」 「ぬ?俺、ここにおるん?」 「(こくん)」
ほんならこーちゃんが待っててってなー。 俺をお城の屋根に座らせてくれたん。
動いたらあかんねんて。 ちょっとこーちゃんがさっちゃんに挨拶してくるから俺はここでお留守番やねんて。 やから俺、屋根の瓦のもりっとしたところをしっかり持ってさっちゃんに手ぇ降ったん。
「さっちゃーん!!!!」
こーちゃんがきらっと光るクナイ持ってそっち飛んでいったでー!! 何やお話あるんやってー!! 聞ぃたってー!!!
「いやいやいや…!!!」
明らかに殺気だよねこれ。 ちょっと真樹緒…!! 俺様お仕事で来たんだけど…!! 真樹緒のこーちゃん殺る気満々じゃない…!!
「(しゅっ)」 「おっと!」
こーちゃんとさっちゃんがお空でキンキン、って音立ててるけど俺は見えやんくって。
あれでお話できてるんやろうか。 二人とも動きっぱなしやけど。 ぬー。
「…やっぱりお忍びさん同士は言葉やなくてこぶしなんやろうか…」
「まぁ、ある意味ね。」
「さっちゃん!?」
やぁ、俺お空見ててんで。 ほら、こーちゃんとさっちゃんがお空におったから。 でもな、今さっちゃんが俺の隣にぼふんって!! ぼふんって現れてん!! さっちゃんどうやってここに!!
「さっちゃんもお忍びさんだからねー。」
やる時はやるのよ。 ふふん、って笑いながら俺の頭を撫でるさっちゃんは相変わらずイケメンで。 ほんっとに真樹緒のこーちゃんは話を聞いてくれないよね、って溜息つくん。
んー? そう? こーちゃんいっつも俺のお話聞いてくれるで。
「そりゃぁね。」
真樹緒だからでしょ。 肩をすくめたさっちゃんを見上げてやぁ、あれって。 やぁ、ちょっとおかしない?
「ぬー?」
やってやで。 ほんなら今、こーちゃんとおるんは? あれさっちゃんやないのん?
ひょいってお空見上げたらまだお空ではカンカンキンキン、何かぶつかる音が聞こえて。 あれー? さっきと一緒。
「さっちゃん?」 「うん?」 「…、さっちゃんよなぁ…」
えー… ほんならお空にいるんは?
…… ………
誰。 こーちゃん誰とお話してるん。
「俺の分身だよ。」 「ぬ?」
ぶんしん? 分身。
「へー…」
さっちゃんの分身かー。 分身ってあれやんな。 体がこう、ぶわーっと分かれるやつやんな。 ほら、ぶわーっと。
「ぶわーっと…」 「真樹緒。」 「ぶわーっと…」 「真樹緒。」 「…うぃ。」 「いくら俺様がさっちゃんだからって体は分かれないからね。」
そういう術があるの。 俺はお忍びさんなの。 いっつも言ってるでしょ。
「おちゃめやん。」
分かってるもん。 いくら俺かって、さっちゃんがアメーバみたいに分かれるとか思ってないもん。
ひさしぶりのおちゃめやん!!!
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